2021 Fiscal Year Research-status Report
Archaeological Investigation on the Utilization of Plants and Detailed Stratigraphic Sequences of the Pottery during the Prehistoric Times in Northern Luzon
Project/Area Number |
19K01101
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
田中 和彦 鶴見大学, 文学部, 准教授 (50407384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ルソン島北部 / 後期新石器時代 / 金属器時代 / 土器編年 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3(2021)年度は、前年に引き続き新型コロナウイルス感染拡大のため、海外出張ができず、フィリピンにおける発掘調査を行うことができなかった。 そのため、これまでの調査成果に基づき、論文執筆に注力し、台湾の国立臺灣史前文化博物館から定期刊行されている雑誌Journal of Austronesian Studies(『南島研究學報』)の第7巻、第1号に英語論文"Chronology and Origins of Pottery in Northern Luzon, the Philippines, from the Neolithic to the Metal Age" を投稿し、査読を受けて修正を行って上で、2021年12月に刊行された。 内容は、今回の科研費において調査対象になっているルソン島北部のカトゥガン貝塚の前回の発掘調査によって明らかになった良好な層序(後期新石器時代の包含層第V層、金属器時代の包含層第IV層、第Ⅲ層)を基準にして、後期新石器時代の単純貝塚と金属器時代の単純貝塚の調査成果も含めて、ルソン島北部の後期新石器時代から金属器時代にかけた土器編年を構築し、当該時期の土器の変化を明らかにしたものである。 本研究は、ルソン島北部地域で、今後、後期新石器時代から金属器時代までの遺跡調査を行った際に、その出土遺物の時間的位置づけを行う上で基準となるものであり、また、隣接地域における調査においても比較基準として大きな意義を持つものである。また、英語で書いたことで、フィリピン人考古学者はもとより、欧米や台湾の考古学者も利用することが可能となった。 また、論文の中では、現在本科研費(課題番号:19K01101)によって、フィリピン国立博物館と筆者の共同で同貝塚の再発掘に取り組んでいることにも触れている(Tanaka 2021: 16)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ルソン島北部、カガヤン州に所在するカトゥガン貝塚を2019年度より3年間、継続調査する予定であったが、2019年度の第1年目に、第I層、第Ⅱ層の調査を実施しただけで、次の2020年度、2021年度の調査が、新型コロナウイルス感染拡大により海外出張ができなくなって、現地での発掘調査が実施できなくなったため、第Ⅲ層以下の調査ができず遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、2020年度(第2年目)と2021年度(第3年目)のルソン島北部における発掘調査が新型コロナウイルス感染拡大のため海外出張ができなくなり実施できなくなったため、科研費の助成期間を1年延長する申請を行った。幸いにして延長が許可されたため、本年度(2022年度)の8月及び9月上旬と2023年2月下旬にルソン島北部の現地に赴き、カトゥガン貝塚の第Ⅲ層以下の発掘調査をフィリピン国立博物館と共同で行いたいと考えている。 また、同時に同じ期間において、現在水田が営まれている自然堤防の後背地において、古い水田址探査のため、試掘調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究においては、ルソン島北部に所在するカトゥガン貝塚をフィリピン国立博物館の研究者と共同で2019年度より3年間かけて発掘調査する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大のため、海外出張ができなくなり、第2年目(2020年度)と第3年目(2021年度)の発掘調査を行うことができなかった。 そのため、2022年8月及び9月上旬及び2023年2月下旬にフィリピン国立博物館の研究者と共同で発掘調査を予定している。それに伴い、研究代表者である私と共同研究者であるフィリピン人研究者の旅費、日当、謝金並びに発掘調査において使用する機材費等が必要である。
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