2019 Fiscal Year Research-status Report
Methodologic research of a food resource utilization of a isolated islands of Kofun period
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19K01102
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
大西 智和 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 教授 (70244217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 公私立大学の部局等, 係長 (00389595)
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 離島 / 食資源利用 / 貝塚 / 発掘調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は鹿児島県甑島列島という古墳文化周縁地域に生活した人々の、食糧生産を含む食資源利用の実態を学際的分析によってできるだけ詳細な時期ごとに明らかにし、さらに他地域の遺跡の資料についても適応できる普遍的な方法を確立することである。研究のための基礎となる資料を得るための、薩摩川内市下甑島の発掘調査および出土資料の整理作業の実施が2019年度の主要な実績である。 発掘調査に先立ち薩摩川内市教育委員会に連絡を取ったり赴いたりして調整を行った。また、現地にも2度訪れ、調査地の現状確認や調査時の打ち合わせを行った。発掘調査は2019年9月13日~24日にかけて実施した。貝層の残存況協が良好だと想定される場所に調査区を設定し、貝層上面を検出後、中央部1m×1mの範囲を層ごとに掘り下げた。8層まで掘り下げると貝類の含有量が少なくなったため、以下の掘り下げは行わなかった。掘り下げる過程で特徴的な土器や大きめの獣骨などについては、出土地点を記録して取り上げた。掘り上げた貝類や土類はすべて5㎜のふるいにかけて、土器類、獣骨や魚骨などを回収した。記録して取り上げたり回収したりした資料の量は、コンテナケース15箱分であった。層位断面図や写真などの記録作成後、掘り下げた部分の西壁側0.3m×0.3mの範囲を層位ごとにサンプル採取した。サンプルの量は約157㎏である。 発掘調査終了後、出土した土器などの整理作業を進め、洗浄・注記まで終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基礎資料を得るための薩摩川内市下甑町手打貝塚における発掘調査を予定通り実施でき、一定の土器の資料が得られるとともに、期待していたサンプルの採取ができたため。また、出土した土器の整理作業についても進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に実施した発掘調査で得たサンプルの分析に着手する。サンプルには貝類の他、動物骨、魚骨、土器などが含まれており、本研究遂行上非常に重要なものである。分析にあたっては分担研究者および研究協力者と緊密に連携して進めるとともに、メンバーが行うことのできない自然科学分析については分析を依頼して、できるだけ多くの情報を得られるようにする。 並行して、手打貝塚出土土器を中心に、甑島の他の遺跡から出土した土器も加えて編年作業を実施し、時間軸の設定を目指す。 また、2019年度の手打貝塚発掘調査出土土器および、弥生時代から古墳時代の遺跡として知られる薩摩川内市里町の中町馬場遺跡出土資料の土器圧痕調査を、収蔵場所である里町と鹿児島大学で実施し、食用資源利用の実態に関する手掛かりを得る。
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Causes of Carryover |
手打貝塚発掘調査期間中に、研究協力者が加わった調査および検討を5名分予定していたが、台風の影響を受けたため2名の実績にとどまったため。また、3月に貝類および動物骨を専門とする2名の研究協力者を鹿児島に招請し、採取したサンプルの分析の進め方などについての打ち合わせを予定したが、新型コロナウィルスの影響により見送ったため。 サンプルの効果的な分析のために、鹿児島での打ち合わせは重要であると考えており、新型コロナウィルスの状況を見ながら、できるだけ早い時期に鹿児島に招請し実施したい。また、研究分担者3名による、甑島里町に所蔵されている土器資料の圧痕調査の実施を新たに予定に加えた。
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Research Products
(1 results)