2021 Fiscal Year Research-status Report
The Research of Distribution and Consumption of Chinese Ceramics Between 12th and15th Centuries : Comparative Study between China and Other Areas.
Project/Area Number |
19K01105
|
Research Institution | Idemitsu Museum of Arts |
Principal Investigator |
徳留 大輔 公益財団法人出光美術館, その他部局等, 学芸員 (10751307)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 南方産陶磁 / 流通 / 消費地 / 青花雲堂手 / 比較 / 伝世品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、12世紀から15世紀の中国陶磁器の流通と消費の状況に関して、中国と日本における消費地遺跡の出土状況から類型化とそれらの通時的・空間的比較を行うことを大きな目的としている。 調査研究では主に1)中国における南方産陶磁器の消費地遺跡と2)日本における中国南方産陶磁器の消費地遺跡での出土品を主に対象としている。新型コロナウィルス感染症の影響のため、中国現地における実地研究調査は、2020年度に引き続き実施できず、また国内の調査についても一部、2022年度に延期した。このため2021年度も、1)に関しては中国北方地域における墓地・港湾などの遺跡出土の南方産陶磁器の収集を中心に行った。ただし、一部範囲を広げて陝西省などの内陸の地域に関する資料などについても集成を行い、各時代ごとに流通している製品の特徴についての整理を継続して行った。2)では、日本国内における当該資料を報告書をもとに集成を中心に行ったが、特に平安京や博多(周辺地域も含む)に関しては実際に現地での出土資料の観察を含めた資料調査を行い、流通と消費に着目した研究を進めた。なお京都の資料の中には12世紀よりも古い時期と思われる白磁の中に、日本の他の地域では出土する量が多くない、中国北方産の白磁の出土事例を確認した。また南方産青磁製品の中に、龍泉窯や福建省の福州を流れるビン江流域以外の青磁の製品も舶来していることなどが確認できた。このほか15世紀代の青花磁器(とくに雲堂手と称される作例)に関しては、日本国内の美術館・博物館に所蔵されている作品、各教育委員会・大学などに所蔵されている発掘調査により出土した資料についての調査を実施した。雲堂手については、出土事例が決して多くないが、それれらの分析を通して、伝来時期や伝世のプロセスについての検討・考察も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度、令和3年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、中国や国内における資料調査や現地調査を計画通りには進めることができなかった。その状況の中でも可能な範囲で、京都・福岡の教育委員会、大学所蔵の出土品の調査、また青花磁に関しては国内の美術館・博物館が所蔵する作品の調査を行った。また報告書などの資料集成は継続したが、令和4年度の前半期もコロナの影響が残ると予想されるため、研究期間を延長しなければ、当初予定していた調査研究が完了しないと考えている。ただし、令和5年度も中国における調査が可能か現状では不明のため、調査の内容・整理の方法を含めて現在検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響のため、今後も中国での資料調査が実施できない可能性を考え、日本での資料収集と調査を中心とするように研究の方針を軌道修正する。とくに中国の資料については、これまで行ってきた報告資料の体系的な収集を改めて行い、南方産の陶磁器の流通する時代・窯・種類などを丹念に整理・分析を行う予定である。また遺跡出土品に加えて、その後伝世して今日に残る資料・作品についても調査を行うことにしたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響のため、国外・国内の調査の延期・変更が生じた。このため旅費については一部研究資料(図書)の購入にあてた。
|