2020 Fiscal Year Research-status Report
胎土分析から復元する縄文時代中期の土器づくりシステム
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19K01117
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
水沢 教子 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10792799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 由克 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10737745)
眞島 英壽 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60526804) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土器づくりシステム / 原料土 / 胎土 / 栃倉式 / 蛍光X線分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、具体的な土器づくりシステムの解明を目指し、まずは基礎的作業として、縄文時代 中期の在地土器型式の胎土を遺跡ごとに調査し、在地土器胎土にどの程度の変異が認められるのか、また遺跡間で共通する土器胎土が存在するのかを確認していく作業を開始した。そのうち2020年度は中野市立博物館所蔵の千曲川河岸に立地する千田遺跡に集中し、同館の会議室を複数回お借りして胎土分析の基礎作業を実施した。具体的には、まず縄文中期後葉栃倉式前夜の住居SB16、栃倉式古段階の住居SB37、栃倉式新段階の住居SB25を選択し、そこから出土した全土器について、胎土の実体顕微鏡観察に基づくグルーピングを行った。グループはa1・a2・a3・a4,b1・b2・b3・b4・b5,c1・c2・c3、d1・d2、eまでの15分類となった。次にその代表例をSB16で10点、SB25で6点、SB37で11点、補足資料としてSB41で1点抽出し、ボランティアの方にも手伝っていただきながら記録写真撮影、実測、採拓(以上水沢)を行うとともに、非破壊カウントを進めた(中村)。非破壊カウントの結果からさらに絞り込みを行い、胎土の詳細な岩石・鉱物に対するポイントカウンティングを行うために薄片作成委託を進める予定であったが、コロナ禍の影響により、現在抽出に止めている。観察の準備としては偏光顕微鏡や写真撮影装置等機材の調達を進めた。また、粘土部分のX線分析に関しては、明治大学黒耀石研究センターの蛍光X線装置を借用し、池谷特任教授の下で本格分析のための試運転を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延によって移動が難しい場合があり、業者に依頼予定の薄片作成は現在なお待機状態が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
千田遺跡出土土器については蛍光X分析によって胎土の化学組成の確認および薄片作成と偏光顕微鏡観察を進める。さらに、千田遺跡と同様に周辺で栃倉式土器が出土した遺跡を取り上げ、胎土の粗分類と資料化を進め、非破壊カウントまで実施したい。
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Causes of Carryover |
令和2年度は土器観察、抽出、非破壊カウントのための旅費や観察のための消耗品を中心に執行したため、薄片作成委託等が次年度送りとなった。令和3年度は薄片作成委託及び、サンプリング部分の修復材を含め、使用を予定している。
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