2021 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける木質文化財群の用材観のデータベース化と応用
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19K01124
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田鶴 寿弥子 (水野寿弥子) 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (30609920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 樹種識別 / 文化財 / 東アジアの木彫像 / 茶室 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジアの木彫像ならびに茶室建築に注目し、これらの用材観の解明に向けて従来の樹種識別手法に加えて申請者らが開拓してきた非破壊の樹種識別手法(μCTや近赤外分光法など)などを駆使することで用材の大規模なデータベースを構築し、美術史、宗教史、建築史に欠けてきた科学的知見の獲得を進めてきている。本年度はコロナもあり現地へ赴いての調査そのものは不可能であったが、国内はもとより欧米の10か所の美術館の学芸員らと密接にコンタクトを取り、継続した研究を進め ることができた。東アジアの木彫像の調査に関しては、2017年にフィラデルフィア美術館で調査を行った日本の古い神像をきっかけに、出雲から世界各地に散逸した18体の神像群の発見につながり、欧米の美術館に保管されている分などについてはおおよそ調査を終了することができた。それにより、18体のうちその多くにモクレン属(ホオノキか)がつかわれていること、放射性炭素年代測定により、12世紀の作であることなど、貴重な知見をもたらすことができた。人文学の研究者らと国際誌にて公開することができた。茶室建築における樹種調査では、2本の論文を投稿準備中である他、国宝如庵の用材観などをまとめた欧文論文も、準備中である。今後も継続した深みのある研究にむけて努力したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナにより、海外での現地調査はあまり進まなかったものの、欧米の美術館などと密接にコンタクトをとることで、思っていた以上に調査を進めることができた。また、国内の複数の博物館との調査協力体制を構築することができたことも大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコロナの影響で国外及び国内における木彫像や茶室、近代和風建築における調査が滞る可能性はあるが、前年度と同様各美術館とより密接に オンラインでコンタクトを取りながら、研究を継続したいと考えている。 今年度は、特に国内の博物館に所蔵される木彫像調査を中心に調査を進め、データベースを 蓄積していくほか、論文や書籍も出版予定(6月)であることから、成果の公表にも力を入れていきたい。
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Causes of Carryover |
海外での現地調査ができなかったため、旅費が発生しなかったため。
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Research Products
(15 results)