2019 Fiscal Year Research-status Report
研究資源価値向上を目的とする標本情報の復元におけるアーカイブの役割に関する研究
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19K01138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 克 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (50321956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アーカイブ / 博物館標本 / 歴史 / 大学博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究事業の初年度は、札幌博物場アーカイブの構築として元教員と博物館に残されているアーカイブのデータベース構築と各アーカイブのデジタル化を実施した。 アーカイブは書簡や資料を含め4000点を超える点数が確認された。これらは旧所蔵者、保管場所ごとに異なるユニット番号を与え、原形に復元できるように処理を行った上で、フォルダ、アーカイブ保存箱に保管し、原本へのアクセスを容易にする保管体制を整えた。ほぼすべてのアーカイブのデジタル撮影を終え、順次トリミング、PDF作業を行い一部のアーカイブはWebで公開した。 本研究プロジェクトに深くかかわる標本採集記録に関するアーカイブは、標本コレクションの構築を研究手法としていた阿部永のフィールドノートが重要なものであり、現存標本との対比、研究の進展に伴う認識の変化などを追う材料として有益であることが確認された。しかしながらその他の教員のアーカイブには標本管理に関するノート類は確認されず、研究ノートにおいても標本と紐づけるための情報も限定的なものであった。ただし、元教員の手帖など採集旅行のスケジュールと標本に付属する採集地、採集年月日情報との照合により採集者や採集目的などを把握する道筋が見出されたことから、アーカイブの詳細な調査を行う必要性が認められた。 なお、元教員のアーカイブには研究資料だけでなく、個人的な書簡も多数含まれていた。まとまって保存されていた八田三郎と著名なジャーナリスト鳥居素川とその協力者である勝本忠兵衛の書簡を中心にその歴史的価値の検討、論文化を進め、大学博物館に残されるアーカイブの歴史的価値、研究資源としての価値を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度に実施する標本調査から得られるデータと照合する材料を順調に収集しており、想定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り哺乳類標本とその付属ラベルのデジタル撮影を行い、それらをラベルごとの情報としてデータベースに登録してゆく。この結果と初年度に得られたアーカイブとを照合し、標本情報の追加、修正などが可能であるかどうかを検証してゆく。 なお、初年度の調査から得られたアーカイブの歴史的史料としての価値評価についても検証を進め、大学教員間における情報交換など、大学史、学術史に関わる点に着目して調査を並行して実施する。
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Causes of Carryover |
アーカイブ保管用コンテナとフォルダなど消耗品を整理の進捗にあわせて随時購入したところ、発注費用未満の残額が生じた。 次年度も継続して同じ整理保管用消耗品を購入する計画であるため、次年度に計上している当該経費と合算して利用する予定である。
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Research Products
(2 results)