2021 Fiscal Year Research-status Report
植物分類学黎明期における伊藤圭介標本の学術的価値及び公開に関する調査・研究
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19K01148
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| Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
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Principal Investigator |
秋山 忍 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (50196515)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 博物館 / 分類学 / おし葉標本 / 江戸時代 / 博物学 / 自然史 / 高等植物分類群名 / タクソン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究で課題としたのは、日本での近代植物学確立に重要な役割を果たした伊藤圭介と彼の研究資料について、1) 国内 外に分蔵される圭介の植物標本・資料を分析、2) 当時のヨーロッパにおける植物学についての圭介の理解の程度、および 3) 日本における植物学の確立と発展への伊藤圭介の貢献を考察するうえで欠かせないデータの集積である。
伊藤圭介に関連する標本群は、国内では国立科学博物館と東京都立大学に、国外ではオランダの生物多様性センターおよびドイツ・ミュンヘン植物標本館収蔵される。これらの標本を調査し分類学の立場から分析を行った。令和3年度は主として単子葉植物のヤシ科からラン科の植物について調査を行った。
特に着目される成果2点を以下に記す。1) シーボルトの「日本産有用植物概梗（Synopsis Plantarum Oeconomicarum）」(1830)で発表された新学名Musa basjooは、オランダの生物多様性センターに収蔵される伊藤圭介採集おし葉標本1点およびシーボルト採集おし葉1点を原資料として発表されたことを明らかにした。さらに、Musa basjooは、その後、田中・小野によって、1874年に飯沼慾齋による図をもとに正式発表されたことを明らかにし、Musa basjooの著者名の訂正を発表した。この考察にもとづいて、飯沼慾齋による草木図説の図をMusa basjooのレクトタイプに指定した。2) Acorus pusillusは、国会図書館収蔵の伊藤圭介旧蔵「シーボルトへ所贈さく葉目録」二百五十八番に記されたシーボルト自身の手による「Acorus pusillus」の同定記録にもとづいて、オランダの生物多様性センターに収蔵される伊藤圭介採集標本がホロタイプであることを明らかにした。
上記の成果を含めたシーボルト命名植物の原資料について、論文にまとめ発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、伊藤圭介標本が主に収蔵されるオランダ国およびドイツ国への訪問ができず、標本調査が実施できなかったため。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初計画に則して研究を推進する。ただし、当初予期していなかったこととして、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、オランダ国およびドイツ国に収蔵される伊藤圭介標本を実地に調査することの予定が立てにくくなったことがある。この対応のため、今後は、新型コロナウィルス感染症拡大防止のための国内外の状況を注視しつつ、可能であればオランダ国およびドイツ国に収蔵される伊藤圭介標本についての調査を優先的に実施する予定である。分類学的な解析、および文字データの解読等、研究の基本は前年と同様とし、年度末に研究成果をまとめる予定である。
なお、海外における調査の実施が叶わない場合は、これまでに収集したデータにもとづいて成果をまとめる予定である。その後、できるだけ早くに機会をつくり、未完部分の補完をはかる予定である。
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| Causes of Carryover |
理由：新型コロナウィルス感染症症拡大防止のための国外（オランダ国ライデンおよびドイツ国ミュンヘン）に収蔵されると想定される圭介標本の調査を実施することがまったく不可能となったため、予定していた一部調査ができなかった。
使用計画：これまでの調査で、伊藤圭介標本として最も価値が高いと考えられる標本を最も数多く収蔵するオランダ国生物多様性センターでの調査を重点的に遂行するために、主に令和4年度は、同生物多様性センターでの伊藤圭介標本についての調査を推進するために使用する計画である。しかし、新型コロナウィルス感染症症拡大防止のため国外での調査が実施できない場合は、暫定的ながら主にこれまでに得ている資料の調査研究をまとめる等の対策をたてている。
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Research Products
(1 results)
