2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on video archive systems for natural science museums such as zoos and their utilization
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19K01150
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Research Institution | Advanced Sclene, Technology & Management Research Institute of Kyoto |
Principal Investigator |
吉田 信明 公益財団法人京都高度技術研究所, 研究開発本部, 主任研究員 (00373506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正之 京都市動物園, 生き物・学び・研究センター, 生き物・学び・研究センター長 (80280775)
塩瀬 隆之 京都大学, 総合博物館, 准教授 (90332759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 画像処理 / 行動観察 / 深層学習 / 映像分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における最終目標は,動物園における教育プログラムや飼育活動に有効な映像記録の自動抽出を可能とする「モニタリング映像アーカイブシステム」の実現である. 本年度は,その目標に向けて,まず,ビデオ映像の自動解析の取り組みを中心に進めた.近年,動物園では,飼育動物の飼育環境をより豊かにすることで,その動物本来の行動の発現を促し,飼育状況の改善を試みる「環境エンリッチメント」の取り組みが進められている.このような環境エンリッチメントの評価においては,飼育員や獣医師らによる評価に加えて,エンリッチメントがどのように個体の行動に変化を及ぼしたかを定量的に把握できることが期待される. 本年度,研究分担者が所属する京都市動物園で飼育されているツキノワグマにおいて環境エンリッチメントの継続的な取り組みが行われ,このような定量化の観点から,ビデオ映像による行動記録が行われた.この取り組みで記録されたツキノワグマの映像と,それに基づく行動観察の記録データを用いて,本研究課題では,深層学習の手法による映像の自動分類を試みた.その結果,一定レベルの自動分類が可能であることが確認できた.その一方で,生きた動物の行動を対象とすることからくる技術課題も明らかになった. 一方,このような分析結果の具体的な応用先として,本研究課題では映像を活用した教育プログラムの検討を進めることとしている.これまでに筆者らが行った実験結果を踏まえ,本課題で行うべき実験等の検討も,並行して進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,映像データの分析と,教育プログラムの検討を並行して進める計画である.映像データの分析は,研究実績の概要に述べたとおり,動物園において特に関心が高い「環境エンリッチメント」を対象とした分類の試行を行うことができた.最終的な評価には至ってないが,本研究の目的の達成に向けて,今後検討すべき課題が複数明らかになっており,今後の研究の推進に向けた基盤ができたと考えている. 一方,教育プログラムの検討については,本年度は,実験の方策等の検討は行ったものの,適切な実験協力者の具体化などにおいて,十分進めることができなかった.この面では引き続き取り組みを進めており,具体化していくこととしている.
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Strategy for Future Research Activity |
映像分析については,引き続き,今年度作成したデータを元にして,既存研究との比較や,明らかになった課題に基づいて,精度の向上に向けた手法の検討等を進めていく計画である.使用するデータについても,より多面的な検討を行うため,今年度のツキノワグマのデータに加えて,他の動物種の映像や,他の観点から作成されたデータの活用も含めて,取り組んでいくこととしている. 教育プログラムの検討については,特にリモートでの教育への注目も急速に高まったことから,インターネット配信を主に対象として,引き続き検討を進める.具体的な配信システムを構築し,これまでの研究結果を踏まえた評価データの収集を試みることとしている.
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Causes of Carryover |
本年度は,映像分析に注力したことから,映像の記録・分析環境の構築と,成果発表等を中心に使用した.その一方で,予定していた論文投稿等の進捗が十分でなかったこと,教育プログラムの実験の実施に至らなかったことなどがあり,次年度使用額が生じた. 映像分析については,計算環境の追加を行い,並行して実験を行えるようにした上で,外部の有償のスーパーコンピュータの活用なども検討し,さらに効率的に研究を推進する計画である.また,教育プログラムの実験と,研究成果の公表についても進めていく計画である.
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Research Products
(2 results)