2019 Fiscal Year Research-status Report
気温日変化を考慮した19世紀気象観測データの均質化と長期気温時系列の創出
Project/Area Number |
19K01162
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50534054)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 岳彦 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 客員教授 (10114662)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 気温日変化 / 均質化 / 19世紀 / 気象観測記録 / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,時代や観測記録によって生じる気温データの不均質性を,日平均値レベルで,日々の天気や地理的条件を考慮して均質化するための手法を新たに確立することである.1日に数回のみの気温データから求めた日平均気温と24時間毎時観測値から求めた日平均気温との間に差が生じる要因として,日々の天気や観測地点の隔海度・標高によって,気温の日変化パターンが異なる事が挙げられる.本年度は,以下2点の項目を重点的に検討した. ①JMA長崎の新旧両地点の並行観測が行われた1951年について,高度差・隔海度と雲量が気温日変化に及ぼす影響を解明するために,新地点(1日11回観測)の時刻別気温偏差(日平均気温との差)を変数にとり,1年間(365日)の時系列データに対して主成分分析を行った.その結果,上位2成分(PC.1+PC.2)で、全体の変動の約78%を説明し,PC.1は夜間(負)と日中(正)で逆符号となり,日最低気温と日最高気温の出現時刻に相当するため,平均的な基本日変化パターンを示す成分と考えられる。またPC.2は,早朝~午前中で負,夕方~夜で正となるが,日中は振幅が小さいため,気温変化が小さい日変化パターンを示す成分と考えられる。雲量とPC.1スコアとの間には,負の有意な相関があることから,晴天時には日中昇温・夜間降温で気温日較差が大きくなるが、曇雨天時には日中に昇温が抑制され夜間も気温低下しにくいことを示していると考えられる. ②気温の日変化と隔海度との関連を検証するために,過去に気象官署が沿岸部から内陸部へ移転し隔海度が大きく変化した函館において,実際に官署のあった地点の近隣に気象測器を設置して現地気象観測を実施した.本年度はデータの収集,測器のメンテナンスを継続して行い,今後回収データの分析を進める予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に使用予定の19世紀気象観測記録のデジタル化を開始し,デジタル化の完了したデータから,データ分析に着手することができ,いくつかの有益な成果が得られた.また,継続中の現地気象観測に関連する測器の設置・動作確認等が順調に進んだ.
|
Strategy for Future Research Activity |
過去の気象原簿のデジタル化が本年度未完了となっている函館・水戸・東京について,原簿データの入手とデジタル化を進める.デジタル化が完了したデータから,気温日変化の類型化をするために主成分分析とその分析結果の考察を行う. 現地気象観測を行う予定の長崎において,測器の設置手続きと準備を進め,可能であれば設置作業を実施する.
|
Causes of Carryover |
購入予定だったデータ分析用のデスクトップパソコンが,入手までに時間を要し年度内に調達不可能と判断したため. 調達予定であった同型のデスクトップパソコンを,2020年度に購入予定である.
|
Research Products
(8 results)