2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of typhoon track from the 18th to the 19th century based on historical weather documents in Japan
Project/Area Number |
19K01163
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
平野 淳平 帝京大学, 文学部, 准教授 (80567503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歴史時代 / 日記天候記録 / 台風コース / 気候復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、歴史天候記録をもとに復元した台風コースと、日本周辺海域における外国船の航海日誌に記録されている気圧データを比較し、台風の規模についての事例解析的研究を行った。昨年度までの研究により、安政3(1856)年9月23~24日に江戸付近を通過した「安政江戸台風」のコースについて、日記天候記録にもどづく推定を行っている。本年度は、同じ1856年の9月22~25日にオランダ海軍の軍艦メデューサ号が関東沖を航行中に観測した気象観測データと、日記天候記録にもとづく復元結果の比較・分析を行った。メデューサ号で観測された気圧は、9月24日0時に最も低下し、1000hPaを観測した。当時の八王子や、江戸市内で記録された日記天候記録からは、9月23日の夜四ツ時(現在の22時)頃から「大嵐」や「大風」の記述がみられる。台風本体の雨雲がかかってから台風接近までに数時間程度の差があることを考慮し、9月24日午前0時に「安政江戸台風」はメデューサ号と同じ緯度(北緯35.38度)に位置していたことを仮定した。この仮定にもとづいて、台風中心とメデューサ号の距離から「安政江戸台風」の1000hPa半径を約360㎞と推定した。また、観測時代に日本に上陸した台風について、気圧観測値をもとに1000hPa半径を推定し、「安政江戸台風」の1000hPa半径と比較した。その結果、2019年の「東日本台風」の1000hPa半径は約666㎞、1917年の「東京湾台風」は約618㎞であり、「安政江戸台風」の1000hPa半径は、これらの台風よりも小さかったことが分かった。しかし、「安政江戸台風」の中心気圧はメデューサ号の気圧データからは推定できないため、1000hPa半径が小さくても中心気圧が低い台風であった可能性は残されている。台風中心気圧の推定は今後の検討課題である。
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Research Products
(5 results)