2021 Fiscal Year Annual Research Report
Tsunami evacuation model and geospatial information system related the earthquake around Chishima Trench
Project/Area Number |
19K01166
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 雄一 北海道大学, 文学研究院, 教授 (90250399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深田 秀実 小樽商科大学, 商学部, 教授 (40547866)
塩崎 大輔 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (90910399)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 千島海溝地震 / 津波避難 / GIS / 階段上昇シミュレーション / 複合災害 / 積雪寒冷地 / 避難ビル / 避難困難区域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高い危険性が指摘されている千島海溝を震源とした巨大地震による津波を想定し,GISとマイクロジオデータを用いて沿岸都市における津波避難行動モデル化のための情報統合システムを構築し,防災上の課題を明確化した。そのために(1)避難情報の最適配信モデル,(2)避難情報の受け入れ・避難先選択に関する意思決定モデル,(3)避難場所(避難ビルを含む)までの水平的移動に関する実証的空間モデル,(4)避難ビル内での垂直的移動に関するシミュレーションモデル,(5)避難場所内部における滞在モデルの構築を行い,それらを連携させて考察を行った。また,対象地域は,冬季の寒冷が厳しい積雪寒冷地であるため,分析では季節差を考慮した。 (1)避難情報の最適配信モデル,(2)避難情報の受け入れ・避難先選択に関する意思決定モデルに関しては,VR津波避難システムを構築し,1,000人以上の被験者で実験を行い,実験前後のアンケートに対するAHPの分析から避難情報としてはエリアメールへの期待が大きいが,避難実験で防災無線などのアナログ情報への期待が高まることが分かった。水平避難に関しては,積雪時に避難困難区域が拡大し,地震による土砂災害等で避難経路が遮断されると,深刻な被害が出ることが明らかになった。垂直避難に関しては,津波避難ビルでの階段上昇シミュレーションにより,安全階に広いスペースがあっても,入り口での混雑や階段上昇に時間がかかることで,津波到達までに安全階に避難できないことが判明した。さらに,避難場所内部では冬季に低体温症の危険が高まり,その対策が必要であることがわかった。本研究では,千島海溝地震による津波災害に関する津波防災上の課題が,都市開発とともに高まっていることを指摘した。
|