2020 Fiscal Year Research-status Report
The financialization of real estate and its impact on local communities
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19K01169
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
菊池 慶之 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (20367014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不動産の金融化 / 不動産投資信託 / 香川県高松市 / 鳥取県米子市 / 公的ファンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本における不動産の開発・保有・利用にかかわる主体の変化を分析することで,日本における不動産の金融化の進展状況を明らかにするとともに,不動産の金融化が地域社会とグローバル経済の結合をどの程度深めているのか,また不動産の金融化を通じてグローバルな経済動向が地域社会にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とするものである。2年目は,以下の2点の研究を遂行した。 ①日本における不動産の金融化の進展と、それが地域経済に及ぼす影響の検討 不動産投資信託(REIT)などの間接的な所有主体による不動産所有は,特定の地域への投資 資金の集中,短期的・投機的な取引の増加による不動産価格の乱高下,高層マンションやホテルなど収益性の高い用途に偏重した開発の増加といった問題を招いている.この結果,不動産投資による資金流入が,大都市圏と地方圏,地方圏においても投資を誘引できる国際的な観光地や広域中心都市とそれ以外の地方の格差を拡大させていることが明らかになった.なお本研究の成果は学術雑誌に投稿中である。 ②不動産の金融化スキームを活用した再開発を実施する地方都市の事例の調査. 空き不動産の利活用策の一つとして,香川県高松市,鳥取県米子市における都市再開発事例を取り上げ,地方都市における不動産の金融化スキームの特徴と,その課題を検討した.検討の結果,地方都市の中心市街地における金融化スキームの導入には,公的ファンドの関与が鍵となること,また不動産の所有と利用の分離が,空き不動産の積極的な利活用へのインセンティブとなる可能性を示した.なお、本研究の成果は2020年3月に共著書籍に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本における不動産の金融化の進展と,それが地域経済に及ぼす影響の検討については,新型コロナウイルス感染症の影響で進捗に若干の遅れが生じている。2020年は大部分の調査で対面によるヒアリングなどが予定通りに実施できなかったため,メールなどの通信手段を介したヒアリングを行ったが,十分な結果が得られなかった部分がある.このため今後補足の調査が必要となる.また,出張が実施できなかった時期があったため,不動産の金融化スキームに関する特徴的な事例の現地調査が十分に実施できなかった.この点については2021年度に,調査事例を厳選して実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施出来なかったヒアリング調査については,2021年度に補足の調査を行う予定である.また不動産の金融化スキームに関する特徴的な事例の現地調査については,当初予定していた北海道倶知安町・ニセコ町の調査を2021年度に継続して行う予定である.また,出張等が困難な状況が続くことも勘案し,筆者の居住地周辺である中国地方の事例の抽出も進める予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった現地調査が発生したため、旅費および現地調査に関連した資料購入の支出が延期となり次年度使用額が生じた。2021年度の研究でこれらの現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)