2019 Fiscal Year Research-status Report
Location of flexible office spaces in central Tokyo area
Project/Area Number |
19K01172
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
坪本 裕之 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (40291570)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フレキシブルオフィススペース / サプライヤー企業 / ユーザー企業 / 東京中心地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度となる令和元年度は、先行研究やフレキシブルワークスペースの定義の定義を行った。不動産情報誌や各社のホームページを通じて、データの収集と地図化を行った。その結果、東京中心地域のフレキシブルワークスペースは、企業集積の大きな地域を中心として立地していることが判明した。同様にフレキシブルオフィスを展開し、サービスが競合するサプライヤー企業たる不動産会社のビルには入居していない。このことはデベロッパーが地区ごとにエリア開発を行う東京では、進出できない地区が存在することを示している。 併せて現地調査を行い、スペース(拠点)を提供するサプライヤー企業への聞き取りと、スペースを実際に利用し、利用実態についての参与観察を実施した。事例として、全世界で520を超える拠点をもつ最大手のサプライヤー企業は、全拠点で同一の面積基準や設備、サービス内容を設けている。このサプライヤーは、提供するサービスの均質性こそが利用者の選択要因とみている。 日本では過去2年間で、平均3000㎡の規模の21拠点を開設していた。通常企業がこの規模・期間で複数の拠点を開設するのは困難だが、急速に事業拡大をしてきた。近年需給の逼迫状態が続く東京のオフィス市場において、主要なオフィス需要を担っている。 東京の拠点は都心区や副都心区を中心に開設されており、都心周辺区にも立地が拡大している。拠点全体では、登録メンバーが6割が大企業社員でスタートアップや個人事業者よりも多い。サプライヤー企業側は多様な使われ方を想定しているが、立地環境で主たる利用者が異なる。都心の拠点では近隣の企業や省庁による、プロジェクト単位での短期間の利用のほか採用面接での利用が多い。一方、新宿や渋谷では都心に比べて賃料が下がり、個人事業者やスタートアップの利用が多い。参与観察では、面接での利用と思しき場面が多見された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染防止対策のため、令和2年2月から3月にかけて計画していた、現地調査(参与観察)が行えなくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
サプライヤー企業によっては、拠点ごとに提供するサービスと施設内容を変えており、利用者の差異が上記の事業者とは異なる可能性がある。令和2年度は、サプライヤー企業に対する聞き取り調査と、遅れている参与観察を継続するとともに、利用者たるユーザー企業に対する調査も行う。 ユーザー企業については、単一ではなく複数のサプライヤーが提供するスペースを横断的に使用している可能性があり、その目的と効果について検討したい。加えて、今後、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、利用者が減り閉鎖される拠点が生まれると予測され、拡大基調にあった業界が再編される可能性がある。その一方で、ユーザー企業がリモートワークをより強く推進すると予測できる。フレキシブルワークスペースが、単にスペースを提供するだけではなく、利用者側に在宅勤務を含んだ柔軟な働き方の推進をサポートし、広範な社会的インフラとして成長・定着するか、今後の可能性について検討する。 令和2年度では、これまでの調査の結果をまとめて学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う出張自粛要請のため、令和2年2~3月に実施を計画していた参与観察にかかる旅費が残額として生じた。令和2年度には、引き続き旅費として使用する予定である。
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