2020 Fiscal Year Research-status Report
Location of flexible office spaces in central Tokyo area
Project/Area Number |
19K01172
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
坪本 裕之 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (40291570)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フレキシブルオフィススペース / サプライヤー / ユーザー企業 / 東京 / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の2年目となる令和2年度は、研究当初には想定できなかったコロナ禍における状況の変化を踏まえて、まず前年度に引き続き、不動産情報誌や各社のホームページを通じて供給側の展開について検討した。 その結果、前年度とは異なる立地展開が確認できた。まず、都心地域に集中していた立地展開は地域的に拡大し、とりわけ大都市近郊への進出が見られ鉄道路線沿いに展開していた。さらに、商業施設に併設された施設も増加している。加えて、宿泊業による宿泊施設の臨時的なスペース提供をはじめとして、サプライヤーとして新規参入した業種も見られた。コロナ禍を受けて提供する施設内容も変化しており、新設される施設では利用者が単独で占有するブース型の増加が顕著であった。 加えて、本来の目的であるコワーキングスペースとして開設された施設も、感染を抑制するためのソーシャルディスタンスを確保し、ワークスペースを地理的に分散し拡大するために利用される傾向が強くなっている。 さらに、利用企業側の視点に立脚しアンケート調査を実施した。その結果、働き方改革の推進施策の一つとして、コロナ禍の以前から利用が可能であった企業においては継続利用の上で利用対象者の拡大が行われていた。その一方で、新規利用企業では利用は進んでいなかった。加えて、新規開設ではブース型が主となり提供席数が限られているため、利用側の視点からはコロナ禍の状況にありながらも利用が広範に拡大しているとは言い難い。 上記の概要を踏まえた東京のオフィスについての展望について、日本地理学会2020年秋季学術大会セッション「COVID-19と地理学」での学会発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染防止対策のため、計画していた現地調査(参与観察)が制約されている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、最終年度の研究として、学会発表と研究論文の作成準備を進める。 その中でも新たな展開も想定できる。今後は、職場であるオフィス勤務と在宅を含む職場外でのリモートワークのいわゆるハイブリッドの勤務形態も企業で導入が進むと思われるが、自宅での就業が困難な場合は代替としてフレキシブルスペースの利用が進む可能性がある。サプライヤーによるスペースの提供が、ユーザー企業の業務や組織運用を柔軟に支える社会的なインフラとしての役割を確立することができるか考察したい。焦点の一つは、コロナ禍も今後急速に収束するとは考えにくい状況で新規のユーザー企業が増加するか否かであるが、感染対策としての利用が制限されているという見方もできる。コロナ禍で利用促進と制約が同時にかかり、利用の差異が起こる要因や課題を明らかにしたい。 さらに利用が進めば、ユーザー企業のオフィス運用が見直されて、占有面積も削減されるであろう。その結果として都心業務地域での立地機会が創出され、オフィス移転が活性化されることで業務空間の再編が進む可能性もある。この予測が現象として確認されるには時間がかかるかもしれない。研究期間内に動向が確認できれば調査を行い結果に加えたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う、現地調査の制約とwebを介した調査や情報収集を行なったため、調査旅費に残額として生じた。
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Research Products
(1 results)