2019 Fiscal Year Research-status Report
大都市圏の介護サービス労働市場への外国からの労働力供給
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19K01178
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
加茂 浩靖 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (90454412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大都市圏 / 介護 / 外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度研究の目標は、第1に、介護サービスを対象とした外国人受入れ制度を整理すること、第2に、介護サービス業おける外国人の受入れが日本のどの地域で特に進展しているのかを捉えることである。労働力不足がより深刻な大都市圏で外国人の受入れが進んでいることが予測される。これらの課題を検討するため、行政機関等でまた関連文献から情報を収集した。さらに収集した情報を統計的に処理し、地図化等により仮説を検証した。 分析結果は以下のとおりである。 介護サービス業において外国人労働者の受入れが実現されている制度には、2008年の経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れ、2017年の外国人技能実習制度対象職種への介護職の追加、および介護福祉士国家資格を取得した留学生に対する在留資格「介護」の新設があったが、2019年4月の改正入管法施行にともなって特定技能外国人の受入れが新たに加えられた。 出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数 」によると、2019年12月において介護分野の特定技能外国人の受入れ数は全国で19人である。ただし、この19人すべてがEPA介護福祉士候補者からの制度変更であることから、外国からの流入ではなく国内での移動であるといえる。 他方、外国人技能実習機構「平成30年度業務統計」によると、介護分野の技能実習計画認定件数(全国)は、2018年3月の0件から2019年3月の1,823件に増加した。この1,823件のうち、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県の8都府県が占める割合は42.1%(767人)に及び、外国人技能実習生の受入れが大都市圏で比較的進展していることを読み取ることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度には、外国人介護職員を取り巻く求人求職の実態把握を目的として、現地調査による研究資料の収集を計画した。その結果、研究資料の収集、資料の分析、分析結果の考察をおおむね計画通りに実施したが、2020年2月および3月に予定していた現地調査を計画通りに実施できなかった。その理由は、新型コロナウィルスの感染拡大による関係施設への立ち入り制限等が実施されたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、介護サービスを提供する主体ごとに、施設の立地展開の特徴、労働力構成、求める労働力を明確にすることである。第2に、どのような介護サービス提供主体が外国人を受入れているのかを明らかにすることである。 これらの課題を検討するため、外国人受入れ監理団体および介護サービス事業所を対象にした実態調査等により資料を収集する。東京都、愛知県、大阪府およびこれらの隣接府県に立地する50事業所を対象に、郵送等によるアンケート調査を実施し、職員構成、職員採用の方法、外国人労働者の受入れ実績等の情報を収集する。収集した資料を分析し、図表や地図に示すことにより、介護サービス提供主体と外国人受入れとの関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初の計画では2020年2月および3月に東京等での資料収集調査、またこの資料の入力作業等の学生アルバイトへの依頼を予定していた。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大によりこれらの作業を中止した。これにともない、実態調査にかかる旅費および人件費・謝金が計画よりも少なくなった。 次年度の使用計画としては、郵送またはインターネットでのアンケート調査にかかる費用を増額する計画である。アンケート調査の規模を拡大することで、より多くのサンプルデータを収集することが可能になり、信頼度の高い研究成果を得ることが期待できる。
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