2020 Fiscal Year Research-status Report
大都市圏の介護サービス労働市場への外国からの労働力供給
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19K01178
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
加茂 浩靖 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (90454412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護サービス業 / 外国人労働者 / 大都市圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の課題は、介護サービス業おける労働力需給の地域差と外国人材受入れの地域的展開の関係の解明である。この課題を解明するため、行政機関、政府統計等から収集した情報を分析した。分析結果は以下のとおりである。 職業安定業務統計によると、2019年11月における介護関連職業の有効求人倍率(全国)は4.45である。この都道府県別の値は、最大の東京都で7.39、以下、愛知県で6.77、奈良県で5.87、岐阜県で5.80、大阪府で5.70であり、大都市圏の都府県で一層深刻な労働力不足の状態にある。 介護分野の外国人労働者の受入れが実現している4つの制度の分析から、日本への受入れの進展を読み取ることができる。2008年開始の経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者受入れでは、受入れ数が2008年度の104人から2019年度の761人に増加した。2017年に介護職が追加された外国人技能実習制度では、技能実習計画認定件数が2018年度の1,823件から2019年度の8,967件に増加した。2017年度に新設された在留資格「介護」では、資格取得者が2017年の2人から2018年の91人に増加した。2019年に開始された特定技能外国人受入れでは、介護分野の特定技能1号在留外国人が2019年12月の19人から2020年12月の939人に増加した。すなわち、4制度すべてで外国人の受入れが増加したことを確認できる。 外国人技能実習機構業務統計によると、2019年度の介護分野の技能実習計画認定件数は、多い順に大阪府で738件、東京都で659件、愛知県で646件、神奈川県で591件、埼玉県で439件である。これら大都市圏の5都府県では、対「老人福祉・介護事業」および「訪問介護事業」就業者数(2015年国勢調査)でも同認定件数が全国値を上回っており、外国人技能実習生の受入れの進展を読み取ることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には、介護サービス提供事業所における外国人労働者の受入れの実態を把握するため、これに関連する研究資料を実態調査によって収集する計画を立てた。その結果、行政機関あるいは図書館等での研究資料の収集、資料の分析、分析結果の考察をおおむね計画通りに実施した。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により関係施設からの協力が得られなかったため、高齢者介護施設、デイサービス施設等を対象にした聞き取り調査を計画通りに実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の目標は、介護サービス提供事業所における外国人労働者の受入れ体制、外国人の就労および生活の実態を把握することである。この課題を検討するため、外国人受入れ監理団体および介護サービス事業所を対象に資料収集調査を実施する。愛知県および隣接県に立地する30事業所を対象に電話聞き取り調査あるいは郵送アンケート等を依頼し、職員構成、職員採用の方法、外国人労働者の受入れ実績等の情報を収集する。収集した資料を分析し、図表や地図に示すことにより、介護サービス提供事業所と外国人受入れとの関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
理由 当初の計画では、東京都、大阪府、愛知県等の介護サービス事業所を対象にした聞き取り調査、またこの資料の入力作業等の学生アルバイトへの依頼を予定していた。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大によりこれらの作業の多くを中止した。これにともない、調査にかかる旅費および人件費・謝金が計画よりも少なくなった。 使用計画 次年度の使用計画としては、電話、郵送またはインターネットアンケート調査、図書館等での資料収集調査にかかる費用を増額する計画である。より多くのサンプルデータや質の高いアーカイブ資料を収集することが可能になり、信頼度の高い研究成果を得ることが期待できる。
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