2020 Fiscal Year Research-status Report
Institutionalization of geography and bringing up founders of open-air museums in Wales and Ireland
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19K01179
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河島 一仁 立命館大学, 文学部, 教授 (90169714)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハーバート・ジョン・フルール / 地理学の制度化 / 博物学 / 海洋動物学 / 野外博物館 / ガーンジー島 / アベリストウィス大学 / ウェールズ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度にはガーンジー島に行き、H.J.フルールの家族の戸籍資料とフルールが所属した研究団体の年次報告書と論文などを精査した。2020年3月には、「ガーンジー島における海洋動物学者H.J.Fleureの形成―アベリストウィス大学、地理学・人類学部初代教授の学術的背景―」(単著)を学内誌「立命館文学」に発表した。 この成果をもとにして、2020年度にはウェールズのアベリストウィス大学とカーディフに位置するセントファガンス国立歴史博物館での資料調査を予定していた。しかし、コロナ禍ですべての予定を断念せざるを得なかった。 このような状況のもとで、できる範囲のことを進めることにした。2020年度には、2019年度にガーンジー島で収集した資料だけをもとにして、H.J,フルールが受けた海洋動物学の教育と、彼がアベリストウィス大学で行った教育との関連性を考察し、下記のように英語で論文を発表した。 ガーンジー島の定期刊行物であるThe Review of the Guernsey Society, vol.76, No.3, Winter, 2020に拙稿”Education and Pedagogy of Marine Zoologist and Geographer Professor Herbert John Fleure”が掲載された。わずかではあるが成果を作ることができた次第である。 フルールの出身地であるガーンジー島で、彼の学問的な業績のすべてが知られているわけではない。特に、ウェールズと北アイルランドで野外博物館を創出したI.C.ピートとE.E.エヴァンスらとフルールとの関係はほとんど知られていない。それらに関して英文で紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で出国することができず、研究計画を遂行できないことが、その最大の理由である。まったく予想もできなかった事態で、如何ともしがたく、どう進めるべきか途方に暮れている。 このような状況のもとでも、研究を少しでも前に進める努力を怠っているわけではない。「研究実績の概要」に記したように、ガーンジー島での刊行物に論文を掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究計画は、イギリスとアイルランドなどでの資料収集を前提にしている。しかしコロナ禍で出国はできない。ワクチン接種もいつになるかわからず、現地に出向くことは無理である。このような状況下で、どのように研究を推進することができるのか、見通しがまったく立たない。 当初の目論見とは厳密には合致しないが、以下のような方策を考えている。第1に、フルールの著書と論文をインターネットで入手し、地理学史におけるフルールの位置づけを明確にする。第2にインターネットを駆使して、フルール、ピート、エヴァンスに関するデータを収集する。第3に、この研究計画が採択される以前に収集したデータを洗い直し、断片的であっても使えるものを探し出す。 上記の3つの方策で、「ウェールズとアイルランドにおける地理学の制度化と野外博物館創立者の育成」という研究課題を完遂できるかどうか不確かであり、困難であることは明らかである。コロナ禍で調査にいけないという状況下では致し方ないと考えているが、研究計画の大幅な変更も今後の視野に入れていることを明記しておきたい。 2021年5月現在、コロナ禍は全く収まる気配がなく、変異株の流行で事態はますます悪化している。イギリスとアイルランド、ならびにチャネル諸島での資料収集を行えるめどはまったく立っていない。 2022年度には出張が可能となった場合には、ぜひとも行きたいと考えている。また、1年間の延長が制度的には可能と聞いているので、それができれば2023年度にも現地に赴きたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍でイギリス・アイルランド・ガーンジー島などに渡航できなかったことがその理由である。もし、2021年度中に渡航が可能となればその費用に充当したいと考えているが、その可能性は極めて低い。
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Research Products
(1 results)