2019 Fiscal Year Research-status Report
転換期を迎えたフランス系カナダのローカル化かつハイブリッド化するアイデンティティ
Project/Area Number |
19K01180
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大石 太郎 関西学院大学, 国際学部, 教授 (70433092)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | アイデンティティ / ローカル化 / ハイブリッド化 / フランス系カナダ / アカディアン / プリンスエドワードアイランド州 / ニューブランズウィック州 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、さまざまな点で転換期を迎えているフランス系カナダにおけるアイデンティティのローカル化とハイブリッド化を現地調査にもとづいて明らかにすることを目的としている。その目的を達成するために、初年度の2019年度は、文献や統計の整理や分析に加え、ニューブランズウィック州南東部およびプリンスエドワードアイランド州をホスト地域として開催された第6回世界アカディアン会議に参加し、さまざまな行事の参与観察を実施するとともに、ニューブランズウィック州のモンクトン大学アカディア研究センターや、ケベック州のラヴァル大学図書館において、関連資料の収集に努めた。 世界アカディアン会議は、カナダの沿海諸州に居住するフランス系住民であるアカディアンの居住地域を巡回するかたちで開催され、第6回は初めてプリンスエドワードアイランド州がホスト地域のひとつとなった。プリンスエドワードアイランド州は、現在ではフランス語を母語とする住民が州人口にしめる割合は小さいものの、アカディアンの歴史において重要なイベントが開催された地であり、彼らのアイデンティティ形成を考えるうえで欠かせない場所である。今回の世界アカディアン会議では、そうした過去と現在を結ぶ工夫が随所に感じられ、プロジェクション・マッピングなどの新たな技術を取り入れつつ、過去の記憶を継承していく試みがみられた。今後、調査結果の分析を進め、学術論文として公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査および資料収集を順調に進めることができた。統計資料の整理に関しても順調に進めることができ、統計資料とこれまでに実施してきた現地調査にもとづいて、カナダ全土のフランス系住民ならびにオンタリオ州に居住するフランス系住民(フランコ・オンタリアン)に関する報告を刊行できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では現地調査を中心に研究を進める方針であり、2020年度以降も現地調査を実施したいと考えている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、現時点では実施の見込みは立っていない。現地調査が実施できない場合には、これまでに収集した文献や統計、各種資料の整理と分析を進め、今後の調査がより円滑に進むよう準備を続けたい。
|