2023 Fiscal Year Annual Research Report
転換期を迎えたフランス系カナダのローカル化かつハイブリッド化するアイデンティティ
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19K01180
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大石 太郎 関西学院大学, 国際学部, 教授 (70433092)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アイデンティティ / ローカル化 / ハイブリッド化 / フランス系カナダ / 沿海諸州 / ケベック州 / 博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、さまざまな点で転換期を迎えているフランス系カナダにおけるアイデンティティのローカル化とハイブリッド化を現地調査にもとづいて明らかにすることを目的とした。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年度と2021年度は現地調査を実施できなかった。2022年度は3年ぶりに現地調査を実施できたが、人的接触をともなう調査は難しいままであり、広域的な現状把握に努めた。そうしたなかで最終年度を迎えたので、調査の範囲を2019年度に調査を実施できた世界アカディアン会議にかかわるものにしぼり、今年度は2019年に同会議が開催されたプリンスエドワードアイランド州と2024年8月に同会議開催を控えたノヴァスコシア州を中心に調査を実施した。また、ケベック州のラヴァル大学図書館において関連資料を収集した。 1994年以来、5年ごとに開催されている世界アカディアン会議は、カナダの沿海諸州のフランス語系住民アカディアンの重要イベントであり、域内各地を巡回するかたちで開催され、近年では「地域を展示する」役割が大きくなっていると考えられる。アカディアンは歴史的経緯にもとづく一つのアイデンティティを維持しつつ、沿海諸州各地の環境に適応した生活を営んでおり、世界アカディアン会議はそうした地域的特色を相互に紹介する場になっているとともに、アイデンティティのハイブリッド化が進む現在の住民が歴史的背景やアイデンティティに関する認識を新たにする場となっている。 今後も、現地調査の成果を中心にこれまでに収集できた資料の分析を進め、成果の公表に努めるつもりである。
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