2019 Fiscal Year Research-status Report
Housing supply and residents' characteristics in the suburban area of Yangon
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19K01181
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Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
日野 正輝 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 教授(移行) (30156608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住宅供給 / 大都市開発 / 居住者特性 / ヤンゴン / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤンゴン郊外地域での住宅開発の状況を観察するために2019年8月に現地視察した。主な視察先は1980年代末の体制変革に対応して郡部から市部に組み込まれ、市街地開発が進められているHlaing区 、North Dagon 区、East Dagon区および市域外であるが大規模な輸出加工区として工業開発が進められているTilawa地区である。Hlaing区では、門戸を備え、塀で囲われた邸宅からなる富裕層の住宅地、工業団地に隣接した比較的早く開発された4階建の集合住宅、現在も建設が進められている中層(5階建て)の集合住宅、運河沿いに並ぶトタン屋根を葺いた小屋風の住宅群などを確認できた。一方、リモートセンシングを用いて、ヤンゴン市街地の1990年以降の拡大を10年間隔で計測した。データにはLandsatのデータセットを利用した。土地被覆の分類には、Semi-automatic Classification Plugin for QGISを利用して5分類を行い、そのなかから市街地部分を抽出して、面積を計測した。その結果、市街地面積は1990年41.6km2、2000年93.4km2、2010年335.8 km2、2019年444.6 km2と推移したことが判明した。とくに2000年から2010年にかけて市街地は242km2も増大した。ところが、2010-19年の市街地の増加は108km2に留まった。前10年間の拡大に比べると、1/2以下のレベルにとどます。この要因の一つとして、新首都ネビドーの建設(2006年新首都となる)が影響したことが考えられる。また、ヤンゴン南部に位置するTilawa地区で大規模な工業団地の建設が展開されているが、当地区を含むヤンゴンの南東部の市街地面積は2010-2019年間に減少したことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リモートセンシングによるヤンゴン市街地の広がりの推移を定量的に把握できたことにより、ヤンゴン大都市圏の広がりは1990年代T.G. MaGeeにより拡大大都市地域と位置づけられたジャカルタ大都市圏やバンコク大都市圏に比べると、コンパクトな状況にあることが判明した。しかし、郊外における住宅開発による市街地の拡大は顕著である。しかも、郊外における住宅供給は多様であることが景観からも確認できた。この多様な住宅供給を導く住宅開発制度について今後文献および現地研究者からの情報収集により理解を深めてゆく必要がある.この点で、2019年8月にヤンゴンを訪問し、Mandaley大学Tin Moe Lwin准教授およびDagon大学Mu Mu Tang准教授らとヤンゴンの拡大プロセスについて意見交換できた。また、今後についても研究協力を得られる関係を築けた。したがって、今後地域統計データや受託開発に関する情報収集において支援が得られる。すでに、Tin Moe Lui准教授からは、ヤンゴンの住宅開発に関する研究論文を紹介された。調査対象地域を選定する際に活用する。居住者特性の把握については、現地でのフィールドワークが必要になるが、Mu Mu Tang准教授は東Dagonスラム居住者のフィールドワークをすでに実施しており、居住者特性の把握のためのアンケート調査の方法についても助言が得られる。 以上の点から、進捗状況を(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画として、昨年度の現地視察の結果に基づいて、郊外住宅地の居住者特性について、Dagon大学のMu Mu Tang准教授らの協力を得て、アンケート調査の実施を予定している。しかし、予期しなかった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ミャンマー渡航が困難なことが予想される。そこで、ヤンゴンでの上記の調査が実施できるまでは、2014年実施の国勢調査データから、Tin Moe Lwin 准教授およびMu Mu Tang准教授の協力を得て、ヤンゴン市のtownshipおよびward別の人口データから人口分布の特徴および新興住宅地区の人口構成などを把握する。加えて、文献研究を進め、ヤンゴンの住宅開発の制度と進展についての理解を深めるために、文献調査などから把握できるヤンゴンの住宅供給に関する情報保持者(研究者、ジャーナリスト、行政官、開発業者)とインターネットを通じて意見交換することで住宅開発におけるステークホルダーの識別と役割を検討する。そのほか、リモートセンシングのデータを活用して、ヤンゴンの市街地拡大の程度を東南アジアの他の大都市の場合と定量的に比較検討する。ここでは、ホーチミン市との比較に注目したい。その理由は、ミャンマーもベトナムと同じく長く社会主義体制による国家運営を行い、1988年に市場経済化に踏み切ったが、その経緯はベトナムに類似しているからである。この分析にはインドネシアのBirawijaya大学のFatwa Ramdani 准教授の協力を得る予定である。
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