2020 Fiscal Year Research-status Report
Housing supply and residents' characteristics in the suburban area of Yangon
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19K01181
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Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
日野 正輝 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 教授(移行) (30156608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住宅供給 / 大都市開発 / 居住分化 / ヤンゴン / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年度はコロナ感染の影響で現地調査を実施できなかったが、2014年センサスにあるヤンゴンのタウンシップ単位の統計について検討した。調査項目は、45項目に及び、人口数および人口特性にはじまり、世帯特性、学歴、出生地、就業状態、住宅タイプなど各タウンシップの住民特性を把握する上で基本的な情報が得られることが分かった。加えて、タウンシップのシェープファイルが用意されており、居住地の空間分化について地図表現が可能であることも判明した。タウンシップ別の人口動向から、CBDでは人口が漸減を始め、郊外で人口増加が著しいが、都心周辺部に位置するタウンシップでは依然として人口増加が続き、人口の離心化の動きはまだ顕著でない。関連文献・資料の収集として、ヤンゴン地区の外報図を入手した。1930年インド測量局により実測作図されたものを複製したものである。当時すでに、現在のヤンゴン大学が現在地Kamaryut地区に立地し、さらに、その北方に位置するInsein地区に刑務所が配置され、その東方のMingalardonに軍の駐屯地を核にして市街地が飛び地的に成立していた。ヤンゴン市街地がペグー山地南端に当たる丘陵地にそって北に延伸していたことが確認できた。さらに、2010年代後半以降ヤンゴンではコンドミニアム法(2016年)の制定もあって大規模な複合的市街地開発が活発化し、従来見られなかった新タイプの居住地区の出現をみている。その立地と関連情報をGoogle Earthおよび検索エンジンを使って確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は現地調査を行い得なかった。また、現地の研究協力者に情報収集等の依頼も差し控えた。それに代えて、インターネットを利用して、ミャンマーの土地制度および住宅供給制度に関する文献・情報の収集に努めた。また、昨年度入手した2014年のセンサスデータをGIS のフリーソフトであるMandaraを使って地図化の作業を始めた。その成果として、人口密度図および2000年人口との比較から、ヤンゴンでは都心部での人口の離心化はまだ進んでいないことを確認できた。ただし、Yankintタウンシップのように首都移転に伴う大幅な人口減少を示す事例は認められた。また、ヤンゴン市に含まれる33のタウンシップについて、インターネットや文献から情報を収集し、それぞれの基本的特徴の把握に努めた。当初の計画では、2020年度は現地調査により、ヤンゴン郊外地域での住宅供給の実態を地域調査することにしていた。しかし、それは叶わなかった上に、現在のミャンマーの状況からすると、2021年度においても現地調査が望めない。しかし、本研究の目的は、ヤンゴンの大都市圏の拡大の特質を、FDIに牽引された大都市化を先行して経験した他の東南アジアの大都市との比較を交えて検討することであり、先行研究のレビュー、リモートセンシングによる市街地拡大の量的把握、人口センサスによるヤンゴンの社会地図の作成、Google Earthに基づく郊外タウンシップの土地利用図作成など、二次的データを有機的に組み合わせて比較検討することで、対応可能である。ただし、当初の研究計画から、進捗状況を(4)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の最終年度であり、次の4点についてまとめる。 ①先行研究のレビューにより、ヤンゴンにおける住宅供給および土地所有制度についてまとめる。 ②それと並行して、2014年センサスのデータに基づいて種々の指標に基づくヤンゴンの空間分化の状態を把握する。また、それらの結果を総合するために、タウンシップのクラスター分析を行い、その結果を地図化し、ヤンゴンの空間構造を提示する。 ③1980年代末にタウンシップに編入され、人口増加が著しいHlaingTharyarタウンシップを取り上げ、住宅所有、住宅タイプ、前住地の構成などから、転入者の姿を捉え、加えて、Google Earthなどを用いて土地利用図を作成し、ヤンゴン郊外の変容の事例とする。 ④ヤンゴンの市街地拡大の特質を明確化する目的で、バンコクとの対比を行う。バンコクの人口センサスについてもMandaraを用いて地図化し、ヤンゴンと対比する。都市圏の広がりについてはすでに先行研究により両都市に大きな開きがあることは紹介されているが、都心部での人口の離心化の程度および住民特性についても比較検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画では、ヤンゴンの都市化前線と位置付けられるHlaing Tharyarタウンシップでの住宅供給および住民特性についてアンケート調査を含めたフィールドワークを予定していたが、コロナ禍と政変により実施できなかった。また、研究成果の報告を国際学会で発表する予定であったが、コロナ禍により発表の場を失った。そのため、海外渡航のための旅費の支出がなくなり、次年度使用額を生じた。
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