2022 Fiscal Year Annual Research Report
Housing supply and residents' characteristics in the suburban area of Yangon
Project/Area Number |
19K01181
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Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
日野 正輝 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授(移行) (30156608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヤンゴン / 都市化 / 居住分化 / 高密度居住 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主にこれまでの研究成果を国内外の学会にて発表した。7月21日開催のIGUパリ大会(ソルボンヌ大学)におけるセッション「Urbanization of Global South」での報告,6月26日地域地理科学会大会(岡山大学),10月30日日本都市学会大会(名古屋学院大)での報告などである。これらの研究発表において次の内容を報告し,ヤンゴンの都市化の状況を説明した。「1990年代の東南アジアの大都市では,従来の過剰都市化からFDIを牽引力にした中間層の増大と郊外の拡大を特徴にした都市化へとシフトした。ヤンゴンにおいても,1988年の市場経済化に伴って市域の大幅な拡大と外資の導入が図られ,新しい都市化の方向が指向された。しかし,ヤンゴンの郊外化は限定的であった。ヤンゴンの人口密度分布は,集合住宅居住による高密度な都市部から離れるにつれて人口密度が大幅に低下し,とくに市域を越えた農村地域では一部の地区を除いて郊外化の影響は認められないほど低密度であった。しかも,ホワイトカラー層などの都心部集中が顕著である。ヤンゴン市内の新タウンシップにおいても工業団地造成により製造業就業者比率が高くなっているが,社会階層の構成はブルーカラー層が卓越する地区に留まっている。その理由として,ヤンゴンにおける中心部と郊外および農村地域とのインフラの整備水準に大きな格差があり,またバス輸送に依存した都市内公共交通システムの現状では,郊外から都心部への移動には時間ロスが大きく,中心部居住のホワイトカラー層の郊外移動は起こっていないと推察された。したがって,ヤンゴンの都市化の現状は,バンコクやジャカルタなどをモデルにして描かれた東南アジアの新しい都市化の域に達していないと判断された。なお,ヤンゴン中心部における中間層の過度の集住は防災の観点からも問題である。」
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