2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on knowledge and technology transfer in the livestock industrial clusters and resilience of cattle-raising regions
Project/Area Number |
19K01183
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松村 啓子 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (60291291)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | とちぎの和牛を考える会 / 集団的学習 / 飯舘村 / 営農再開 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、「とちぎの和牛を考える会」および、福島県飯舘村の肉用牛農家を対象とする調査を行った。研究実績は以下の2つにまとめられる。 1)「とちぎの和牛を考える会」における集団的学習の実態 コロナ禍における休会を経て3年ぶりに開催された「とちぎの和牛を考える会」研修会(2022年11月)において、参加者に対するアンケート調査を実施し、79名より有効回答を得た(参加者の38%)。過去の研修会の参加経験がある回答者が4分の3を占め、30歳台以下でも57%を占めた。経営種別では、一貫経営と乳肉複合経営の半数は初参加であった。研修会の内容については、子牛の育成に関する講演への評価が高く、今後取り上げてほしいテーマについても、「受胎率の向上と分娩間隔の短縮」および「子牛の疾病予防」が、今般の飼料価格高騰と関連する「自給飼料の増産」を大きく上回った。同会は、JAの地区単位、経営種別、世代を超えて、農家間の交流と営農改善目標の共有を促すもので、緩やかな紐帯を実現している。 2)福島県飯舘村における原発事故からの肉用牛経営再開 2023年3月現在、飯舘村での肉用牛経営再開は11経営体、新規就農が1経営体である。聞き取り調査を実施した4経営体は、避難時からの強い営農継続意思と、牛舎新築・機械導入に際し自己負担額がゼロか4分の1ですむ国庫事業の利用を、再開または新規就農の動機としていた。原発事故以前に放牧利用がなされていた各地区の牧野は、除染困難のため飼料資源としての機能を失ったが、除染済み農地では農地中間管理機構を介して営農組合によるWCS用稲および牧草の大規模な作付が2020年より開始され、肉用牛経営に粗飼料を供給している。一方、「飯舘牛」ブランドの復活に向けた地域レジリエンスの強化には、耕畜連携の推進、肥育牛の質向上のための研修、食肉加工・販売に係わる他地域のアクターとの連携が課題となる。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 大学的栃木ガイド2023
Author(s)
松村啓子、鈴木富之、西山弘泰、丹羽孝仁、渡邊瑛季
Total Pages
380
Publisher
昭和堂
ISBN
9784812222058