2021 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮時代の国土地理認識における「水経」の基礎的研究
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19K01196
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
轟 博志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80435172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歴史地理学 / 水経 / 朝鮮王朝 / 実学 / 申景濬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は年度後半にサバティカルを取得していたが、残念ながら新型コロナウィルスのパンデミック下であり、計画していた現地調査や在外研究は、全て実施できなかった。そのためやむを得ず、海外出張がどうしても必要となる研究内容を中心に、2022年度へ研究を繰り越すこととし、本年度は研究室でできる文献研究に集中した。また、オンラインで参加可能なものを中心として、国内外の学会で研究発表を積極的に行った。 本課題と関連する研究論文は、2報を発表した。一つは本研究の中心課題である「水経」について、申景濬の認識や表現の様式がどのように変化していったのかを究明したものである。これは朝鮮全土のスケールの論文である。今一つは、従来なかなか論じられてこなかった、済州島やそれにまつわる地理認識の問題で、本土と済州島にまつわる山水をどのように表現し、国土地理体系をどのような談論を用いて島嶼部まで延長していたのかを考えた論文である。 さらに学会発表も二回行ったが、上記のような地理認識をもとに、「第三空間論」を下敷きとして、朝鮮時代の空間論がどのように展開したのかを論じたものである。これらの内容は、22年度に論文化する予定である。 両者ともに座学のみで論文を完成させたものの、本来は現地調査とさらなる史料収集があって完成されるべきものであり、韓国への入国制限の長期化により、それがなしえなかったことは、非常に残念なことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
韓国へ入国できない状態が2年以上継続し、予定していた資料収集や現地調査ができない状態であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、22年度に課題の延長を行った。今後、研究目的での韓国入国は認められるようになり、隔離免除も可能になる前提で、6月末の大韓地理学会(ソウル)での発表に合わせて、2年半ぶりに現地調査を行う予定である。その際、前年度までの研究実績についても現場で検証を行い、現地の研究者の諮問を得て、さらなる史料収集にも努め、22年度内を目途に研究の完成を期す予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのパンデミックの持続により、研究計画にある海外調査等が物理的に行えず、やむを得ず次年度に延長したため。そのため、繰越額の大半は、旅費やその派生費用等として使われることなる。
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Research Products
(4 results)