2020 Fiscal Year Research-status Report
タイ北部山地先住民のエスニック・セキュリティとその最適化に関する人類学的研究
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19K01203
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
綾部 真雄 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (40307111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 千尋 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60319994)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タイ / 先住民 / リス / セキュリティ / 文化振興 / ポリティクス / アクションリサーチ / 儀礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文献研究ではなく、ほぼ全面的に海外フィールドワーク(タイ北部の山岳地帯)による成果を前提としているため、新型コロナウィルス感染症の影響により現地渡航が一度もかなわなかった2020年度は、実質的に研究としての進捗がほとんどないと言わざるを得ない。 しかしながら、研究分担者(1名)との間で調査渡航を前提とした打ち合わせを2度(対面およびオンライン)実施し、渡航できた場合の役割分担や実施計画についての意見共有を行った。 また、現地の調査協力者(調査助手)との間ではオンラインで複数回やりとりを行い、調査予定村の新型コロナウィルスによる影響(政府から集会人数や移動の制限をかけられていることを確認)および、研究代表者が個人出資で村内に建設した「文化振興センター」の使用状況についての聞き取りを行った。その結果、現状では規模の大小にかかわらず文化振興イベントを実施することを政府から許可されておらず、村内委員会等を実施することで、同施設を有効利用することを試みていることが判明した。 2021年度以降も現地渡航がすぐにできる可能性が低いため、調査協力者には、2020年度の段階ですでに、預けてある撮影用機材を用いて各種の活動(特に儀礼等)を記録し、編集およびリス文字/タイ語への文字起こしに着手してもらうよう依頼をかけてはいる。ただし、活動制限により儀礼等の実施も最小限のものにとどまっており、実際に作業に着手するまでには一定の時間が必要であるという回答を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要でも触れたように、現地フィールドワークを前提としている調査研究であるため、一度も現地渡航が叶わなかった2020年度は調査に全く着手できなかったためである。また、現地でも感染症が拡大しており、調査助手に研究を部分的に委託して進めてもらうこと自体もままならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはなにより新型コロナウィルス感染症の影響を受けずに現地に渡航でき、村落側でも外部からの調査者としての研究代表者および研究分担者を安全に受け入れる素地が整うのを待つよりほかはないと考えている。その時期がいつ頃になるかについての見通しは立たないが、もし可能であれば、最短で2022年の2月から3月にかけての時期に調査渡航を再開したい。 それまでの期間については、引き続き研究代表者と研究分担者との間で現地調査の進め方について十分なコミュニケーションをとると同時に、現地の調査協力者ともオンラインで密に連絡をとりながら、一定の情報収集を進めてもらう予定である。
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Causes of Carryover |
◆次年度使用額が生じた理由 新型コロナウィルス感染症のために現地渡航が出来ず、予算上最も大きな比重を占めている旅費と人件費・謝金の支出がなかったため。 ◆使用計画 2021年度については、繰り越した予算を用いて現地渡航回数を(可能であれば)増やして予算の執行を図る。
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