2022 Fiscal Year Research-status Report
The role of "Hometown" as a cultural and social system playing in the migration and network-making of Chinese overseas from Fuqing
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19K01212
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
張 玉玲 南山大学, 外国語学部, 教授 (60511110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シノロジー / 中華人性 / ポストコロニアル / 脱構築 / 混淆性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、コロナウィルス感染症の拡大が少しずつ落ち着いたものの、調査対象地域の一つである中国大陸部への渡航がまだ容易ではなく、2021年度に引き続き、日本国内在住の中国系移民に関する資料収集(2022年度南山大学南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2 の課題でもある「在日華僑の生業と生活空間に関する民族誌的研究」と並行した形で)と、文化人類学における華僑華人研究にかかわる理論的系譜の整理及びその意義と方法について研究を行った。 前者に関しては、論文にまとめる段階であるが、戦後日本社会全体が再編成する中、華僑華人も自らの立ち位置を定めようと、居住地や生業を変えたり、地域住民との関係を再構築しようと努めてきたことは、複数の聞き取り調査を通じて明らかとなった。後者に関しては、論文「文化人類学における華僑華人研究の意義と方法」(『人類学研究所研究論集』第12号,pp.141-159,南山大学人類学研究所,2023年3月)として発表している。ポストコロニアルの諸理論、諸批判を受けて以来深い自省に追い込まれつつ、新たな意義を探し求めている文化人類学同様、華僑華人を対象とする研究もその意義と方法を厳しく問われているのである。2022年度のこうした研究は、今回の課題だけでなく今後の華人研究にとっても必要不可欠なものであり、意義のある作業であると考えている。 今後、こうした研究成果を踏まえつつ、華僑華人の社会的、文化的実践と彼らと何らかのつながりをもつ「外部」との関係をより体系的に考察するための理論的枠組みの模索も課題の一つとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた三年間の計画からすれば、福建省における現地調査は初年度の2019年度のみ実施できたが、2020年度からの3年間、コロナウィルス感染症の拡大が原因で不可能になった海外での調査の代わりに、日本国内での調査をもって補おうとしてきた。日本国内での調査を通じて得たもののあったが、当初設定していた課題を解明するには不十分であり、「やや遅れている」状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の調査対象地域である中国をはじめ、日本国外への渡航が少しずつ通常に戻りつつある中、2023年度より海外での調査を再開する予定である。 夏季長期休暇中に、福建省福清地域に2週間ほどの現地調査を行い、その成果をまとめて学会等で報告すること、学会誌などへ論文として発表することも予定している。 それと同時に、2022年度で関連理論のレビューで明らかになった華僑華人研究の課題についても引き続き検討していくことを考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の拡大によって海外での調査が実行できず、主に日本国内での調査にとどまっていたため、2022年度南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2「在日華僑の生業と生活空間に関する民族誌的研究」と並行した形で2022年度の研究を行った。 2023年度、研究計画にある福建省福清地域等における調査を行うこと、国際学会、シンポジウムへの参加、報告など、日本国内外の研究者と積極的に交流することを予定している。2022年度の助成金も合わせて、そのための旅費などに充てることを考えている。
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