2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive research and filming of traditional beekeeping of Japanese honeybee in mountainous areas of Japan
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19K01215
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
真貝 理香 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (30758818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹川 大介 北九州市立大学, 文学部, 教授 (10285455)
甘 靖超 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20789044)
スピーゲルバーグ マキシミリアン 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (30811301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニホンミツバチ / 養蜂 / ドメスティケーション / 伝統養蜂 / 映像 / トウヨウミツバチ |
Outline of Annual Research Achievements |
山間地域のニホンミツバチ養蜂に関する重点調査地域として、真貝:和歌山県・高知県、甘:長野県の調査を行い、基礎データの収集を行った。山間地域に加え、竹川は北九州市内、甘は名古屋市内の養蜂家からの聞き取りも行い、竹川は自らも、複数タイプの巣箱を利用した養蜂を、大学キャンパスで行うことで、巣箱による養蜂戦略を比較検討している。また、真貝・スピーゲルバーグは、C.ルプレヒト研究員(総合地球環境学研究所)、映像作家・澤崎賢一氏の協力を得て「古座川の伝統養蜂ー和歌山県古座川地域のニホンミツバチ養蜂」(30分フィルム)を日本語/英語、各言語の字幕版として製作(総合地球環境学研究所のyoutube日本語版2020年3月以降、約14,100回再生,6月現在)、公開した。 https://www.youtube.com/watch?v=DhEAR0nodz4(日本語版) https://www.youtube.com/watch?v=4LZumgD_qO4(英語版)。これは、現代において「変化しつつある伝統的な」養蜂を、映像に収めたものとして評価できる。 また、ニホンミツバチ養蜂の文献や研究のデータベース的機能を備えたサイト「ニホンミツバチ養蜂文化ライブラリー」を2019年12月に新規開設。論文や単行本など約120の文献タイトル、45の歴史的文献タイトルなどを掲載している(開設以降、3,500回アクセス)。解説の一部は日英併記とし、海外からの閲覧にも対応しており、研究者・市民双方からの利用・活用が期待できる。https://japanese-honeybee.info/ 研究のアウトプットとして、竹川は2019年12月に開催されたミツバチ・サミット(つくば国際会議場)において、シンポジウム「ミツバチを家畜化するーニホンミツバチをめぐる在来知と最新の知見」をオーガナイズし、竹川、真貝ともに講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山間地域のニホンミツバチ養蜂のフィールド調査は、ほぼ順調に行うことができ、データの蓄積が進んでいる。また、歴史的な文献についてもデータの整理や、書籍の収集が進み、その内容の一部は、「ニホンミツバチ・養蜂文化ライブラリー」で公開している。 また本課題の柱のひとつである映像作成も、和歌山県古座川地域を取材した1本を、予定通り作成・公開した。youtube上での視聴数も順調に伸びており、研究者のみならず、一般市民からも興味を持って視聴されていると考えられる。 ニホンミツバチの養蜂文化に関するホームページの開設は、当初、研究がまとまった研究助成最終年度を予定していたが、今年度に前倒しで開設し、ミツバチ・サミットにおいて情報共有した。予定より早くホームページのフレームを整えたことで、次年度以降の研究成果を、徐々に追加していける基盤ができたと言える。当課題は、在来の昆虫でありながら、あまり一般の人には広くは知られてこなかったニホンミツバチ養蜂の伝統や戦略を、生態系の中で捉え、「成果を市民と共有」することにも重きをおいており、今年度は、映像やホームページという形での展開が順調に行われている。また、研究成果の一部は、ミツバチ・サミットにおけるシンポジウムのオーガナイズ(竹川)、講演(竹川・真貝)で公開され、シンポジウムにおいては、複数の研究者とともに「ドメスティケーション」という切り口で、ニホンミツバチの養蜂が議論された。 また本課題は、ニホンミツバチの養蜂を、アジア地域における在来ミツバチ(トウヨウミツバチ)の養蜂の中で比較・位置付けることも射程にいれており、マキシミリアンが国際学会で発表した内容は、台湾の研究者との協業によるものであった。竹川は今年度、台湾から研究者を招聘して研究会を開くことを予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて実施ができなかったため、次年度以降の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は前年度に続き、①各分担者によるフィールド調査(九州山地、紀伊半島南部、高知、長野)を行い、各地域のニホンミツバチ養蜂の、基礎データ(巣箱の形態・サイズ、立地や蜜源植物、養蜂戦略など)の収集を行う。また基礎データに加え、各地域の養蜂に関連する他の生業の調査、②養蜂の歴史に関する文献に関しても収集を行う。今年度は③九州、長野において、映像撮影を行う予定であるが、新型コロナウィルスの影響のため、調査や映像撮影が、延期または一部中止になる可能性もある。また、アジアの中での在来ミツバチの養蜂比較研究という観点から、④台湾との研究者との連携も継続して行うが、研究会などについては、オンラインで行う可能性もある。
今年度については、予定している山間地域の調査が難しい場合、比較研究として、名古屋市(甘)・京都市内(真貝・スピーゲルバーグ)における、都市養蜂の聞き取りや、ミツバチの供養など儀礼に関する民俗調査(岐阜、千葉)を、一部、オンラインで行うことも検討する。また、調査がより難しい社会状況になった場合、地域の養蜂同好会などと連携して、郵送やメールによる調査も視野に入れるなど、フレキシブルな対応のもとに研究を継続する。
⑥2019年度に開設した「ニホンミツバチ養蜂文化ライブラリー」は、さらに内容の充実を図り、古い養蜂道具、養蜂作業の写真なども応募し、持ち主の許可のもとに掲載するなど、ニホンミツバチ養蜂の歴史を広く、可視化して発信していく。
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Causes of Carryover |
2019年度の予算のうち、2020年2月・3月に行う予定であったフィールド調査、および学会出張による旅費が、新型コロナウィルスによる影響でキャンセルされたため残金が生じた。 2020年度は、予定していた調査の継続と、フィルム撮影・編集者への謝金などに、当該予算を利用する。社会的状況によって調査が難しい場合は、オンラインによる調査など、別方法での調査継続を行う。
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Research Products
(4 results)