2020 Fiscal Year Research-status Report
農山村集落の老いを支える営みに関する比較民俗学的研究
Project/Area Number |
19K01223
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加賀谷 真梨 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50432042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 沖縄 / 老い / 介護 / ケア / 支えあい / 共同体 / 看取り / 死穢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢化率の高さを高齢者が当該地域で生活できていることを示す指標と積極的に読み替え、高齢化率50%を超える福島県金山町の農山村集落で3年間断続的に現地調査を行い、日常の生活における世代間交流や高齢者同士の暮らしぶりに着目しながら、老いを支える多様な営みを析出することを目的としている。さらに、収集したデータを研究者がおよそ10年に亘り調査を遂行してきた沖縄の離島の状況と比較検討することで、老いの文化の比較研究として昇華させることを最終目的に掲げている。 2020年度は感染症拡大防止の観点から、予定していた金山町でのフィールドワークを全て取りやめた。フィールドワークに基づく新たなデータは収集できなかったものの、文献資料を集約しつつ、既存の沖縄離島の地域介護に関する調査データを整理することで論文を3本執筆した。波照間島の介護実践に関する論文は比較家族史学会の学会誌と中国で出版された論文集に掲載された。これらの論文では、地域住民が介護に従事することで看取りの局面がどのように変容したのか否かを詳述した。また、池間島の地域介護の実践に関する論文は2021年夏に出版予定である。加えて、本研究の調査地である福島県金山町において、研究者の学生が2019年度に行った民俗調査の報告書『本名の民俗』の編集・刊行を通じて、今後研究を進めていく上で有益なつきあいの諸相に関する具体的かつ詳細なデータを入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は現地調査を断続的に行い、住民の日常生活に垣間見えるケアの局面(支えあい)を新たな視点や視角から見出すことに重きを置いている。しかし、肝心の現地調査が困難であったために、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
金山町の住民との間で既にラポールを形成している榎本千賀子氏に研究分担者に加わってもらった。金山町で新型コロナワクチンの接種が進んだ頃合いに、営農組合の結成状況、空き家の管理、独居老人の支援等、老いを支える営みを析出するための具体的な質問項目を周到に準備し、合同調査に入る予定である。
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Causes of Carryover |
調査に出ることができず、旅費としての支出がなかったため次年度使用額が生じた。2021年度に更に助成金を請求した理由は、研究分担者を加えたこと。また、調査地でワクチン接種が進んだ段階で複数回調査に出る予定のため。
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Research Products
(4 results)
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[Book] 大学的新潟ガイド2021
Author(s)
新潟大学人文学部附置地域文化連携センター
Total Pages
292
Publisher
昭和堂
ISBN
9784812220146
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