2019 Fiscal Year Research-status Report
A studyon global commoditization of traditional textiles and the change of their local meanings
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19K01225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中谷 文美 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90288697)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統染織 / 仲介者 / 商品化 / 観光化 / 文化遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,特定の文化的・歴史的背景のもとに在来の技術を用いて生産され, 使用されてきた伝統染織品を研究対象とし,それらの染織品が従来の生産と使用の文脈を離れた市場に流通するようになった過程(=グローバルな商品展開)に注目するものである。文化人類学の視点と手法を用いて,その過程における多様な仲介者(mediators)の役割と影響を分析することをめざしている。 本研究の初年度となる2019年度は,研究課題に関連する各種の文献資料の収集,熟読に加え,オランダ・ライデンにおけるICAS (International Convention of Asian Scholars)11,韓国・全州におけるEAAA(East Asian Anthropological Association),カナダ・バンクーバーにおけるAAA (American Anthropological Association)の各研究大会において,研究報告や情報収集,関連研究者とのネットワーク作りを行った。合わせて国内外の美術館・博物館で開催された展覧会において,伝統染織の範疇に入るさまざまな工芸品の製作過程や文化的背景の説明・表象に関する調査を実施した。 このほか,本研究に至るまでの調査成果と本研究の枠組による文献調査の成果を統合する形で,編著Fashionable Traditions: Asian Handmade Textiles in Motionを出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては,2019年度はインドネシアにおける現地調査を実施する予定であったが,2月以降,新型コロナウイルス感染が世界各地で拡大しはじめた事態を受け,海外調査のリスクが高まったことや,調査カウンターパートの業務にも支障が生じつつあったことから,予定していた調査は実施できなかった。 他方,当初予定していなかった国際学会での報告を行い,合わせて学会開催地の大学での研究セミナーに招聘されたことで,本研究課題に関心を持つ研究者とのネットワーク作りを進めることができた。また,海外の出版社より英文論文集を刊行したことで,国際的な研究動向に歩調を合わせつつ,さらなる研究の進展を実現する。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては,2020年度も海外でのフィールド調査が困難になる可能性がある。事態の推移を見守りつつ,必要に応じて,現地調査のタイミングを変更することも視野に入れる。その場合も,国内調査は継続し,インドネシア,ラオスの事例と比較可能な日本の状況についての知見を深める。
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Causes of Carryover |
当初予定になかった国際学会での報告を実施するために前倒し使用が認められたが、他方で予定していた海外調査が未実施となったことで次年度使用額が生じた。この額については、次年度実施予定の国内調査の頻度を増やすことで使用する予定である。
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