2023 Fiscal Year Research-status Report
農耕民の生業変化と定住化インパクト:東南アジアにおけるモンの事例を中心に
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19K01227
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中井 信介 佐賀大学, 農学部, 准教授 (90507500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生業 / 農耕民 / 定住化 / モン族 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
自然資源を利用した生業とそれに関連する文化は、とくに20世紀以降、世界的に大きく変化しつつあり、人類史の視点からみても重要な転換点にある。本研究では、人類の生業史について、生業の変化とその要因を考える試みの1つとして、山地の森林地帯で焼畑を行ってきた農耕民の事例を、定住化インパクトの視点から検討する。主に検討する事例は、中国南部を故地としておよそ18世紀以降に、ベトナム、ラオス、タイへと分布域を拡大してきた、農耕民モン(Hmong)である。 2023年度は本研究の研究期間(2019年度から2023年度の5年間)の5年目に相当し、これまでの調査結果の整理と文献検討から主に研究を進めた。その結果、2023年度には、以下のような成果を報告して論文化を進めた。 まず1つ目に、2023年6月には、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究『空間統治と民族関係の人類学』での報告を行った。この発表では、国家をはじめとする権力による空間統治とエスニシティの動態を視野に入れながら、定住化を契機とするモンと近隣民族の関係性変化を素描した。 そして2つ目に、2023年10月には、IUAES-WAU World Anthropology Congress 2023(デリー大学)において報告を行った。この発表では、モンを含むいくつかのタイ周辺の少数民族を対象に、定住化にともなう地域の自然環境への適応過程の多様性について、比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に、従来から訪問経験のある地域を再訪して、研究に必要なフィールドワークと聞き取り調査を実施している。具体的な課題は明確であり、コロナ禍においてはフィールドワークの実施を控えたが、これまでの調査結果の整理と文献検討を主に行い、研究を進めている。研究期間の5年目として、研究の進め方を工夫することにより、ある程度の成果は得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況を勘案して、研究期間を1年延長する。今後、6年目の研究推進について、課題や実施内容は明確であり、遅れを取り戻すように研究を進める予定である。2023年10月のIUAES2023での報告を踏まえて論文化することで、研究の遅れを補完できるようにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍中に出張を控えた分の研究費について、使用が遅れている。次年度の出張(調査と学会参加等)および論文作成等で使用する。
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