2020 Fiscal Year Research-status Report
科学分野をめぐるイスラームの多様性―イランの環境問題を事例に
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19K01228
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
阿部 哲 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (90732660)
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2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | イスラーム / 科学知 / 近代性 / 環境問題 / 公衆衛生 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主にオンライン媒体で入手した文献資料をもとに、環境分野及び諸科学分野におけるイスラーム伝統のあり方について研究を進めた。また、現地の研究者と協力しながらデータ収集・分析を行う過程で、本研究テーマについて議論する機会を得た。特に、これまで科学知が大きく概念的枠組みを規定してきた環境分野や公衆衛生分野におけるイスラーム法学者・専門家による知的貢献のあり方について研鑽し、現代社会におけるイスラーム伝統の多様性に関して示唆を得ることができた。具体的には、当該分野における彼らの議論や取り組みの分析を通して、彼らが科学知をイランの歴史文化的脈絡の中に位置づけながら、イスラームの知的枠組みで捉える点に関し知見を得ることができた。ただ本年度は、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に伴い、調査計画の変更を余儀なくされたことに加え、現地調査の再開時期が不透明であるため、今後は状況を注視しながら、臨機応変に研究計画を立てていく必要がある。
本年度の研究成果は、主に論考（日本語・英語）や学会発表を通して広く社会に発信することができた。また、国内外の複数の分野の研究者と定期的に編著の出版プロジェクトに関する打ち合わせを重ね、自身の研究テーマを多角的に考察できたことは、来年度以降にイスラームの多様性について研究していく上での収穫となった。来年度は、文献資料調査（可能であれば現地調査）を中心に研究を継続し、関連分野に関する見識をさらに深め、論考や国際会議などで成果の発信を行っていきたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、調査計画の変更を強いられたために、研究の進捗はやや遅れている。今後は、主にオンライン媒体や現地の研究者を通して関連情報の収集、整理を継続し、パンデミックの状況を見極めた上で、適切な時期に現地調査を実施予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
来年度における主要な目標は、イランで現地調査を実施し、イスラーム知に基づいた環境啓発の実践に関するデータを収集することである。既存の研究資料を活用して現代社会におけるイスラーム伝統についての見識を深める一方で、関係者と連携を取り合いながら、臨機応変に調査に向けた準備を進めていく。さらには、環境問題を切り口として、科学知が中心的な概念枠を形成する諸分野（例えば、コロナ禍で急速に発展している公衆衛生分野）におけるイスラーム伝統の貢献についても、情報を蓄積したい。
また、来年度末には国内外の研究者と国際研究会を開催し、蓄積されたデータを基に研究成果を発信したい。さらに、研究視座を広げることを目的に、単著論文と共に、学際的な共著論文の執筆に取り組み、広域的に研究成果を共有していくことを目指す。
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| Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大のために、当初の調査計画(当該年度科研費使用計画)を変更をする必要に迫られた。来年度は適宜、研究対象地域で 調査を実施し、当該年度科研費を使用することを計画している。
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