2019 Fiscal Year Research-status Report
関西系小芝居(中芝居)の活動実態と地芝居との影響関係―地芝居の価値再発見に向けて
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19K01235
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
浅野 久枝 京都精華大学, 人文学部, 講師 (20700008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中芝居 / 小芝居 / 地芝居 / 歌舞伎 / 地歌舞伎 |
Outline of Annual Research Achievements |
関西系中芝居劇団の昭和初期から戦後の活動を追求するために、いくつかの調査を続行した。 1.歌舞伎愛好家たちの同人誌『劇友』の調査:『劇友』は大歌舞伎に限らず、また、東京だけに限らない歌舞伎や演劇の評論が掲載されている。『劇友』は公刊されていない資料であり、また、『劇友』を保管する松竹大谷図書館の方針で、コピーが許されないため、時間がかかっているが、それらを閲覧して、中歌舞伎劇団の活動を調べている。しかし、残念ながら、現在までに本研究に合致する記述は発見できていない。 2.地方新聞の広告の調査:2019年度は函館にて「北海道新聞」と、福岡にて「西日本新聞」の広告欄の調査を行った。広告欄は検索対象に入っていないため、紙面を一枚ずつめくっていかねばならず、これも時間のかかる作業であるが、中芝居劇団の公演宣伝は数多くピックアップすることができた。 3.元中芝居役者の活動調査:存命中の元中芝居役者の方々の、地芝居への指導方法の参与観察およびインタヴューも進めている。インタヴュー音声は文字化を進めている。 4.書籍等で、地芝居・地元名士芝居の記録などから、元中芝居役者の指導内容などを、少しずつ収集している。 5.中芝居劇団の番付(公演パンフレット)の収集:大正末期から昭和40年くらいまでの中芝居公演の番付(公演パンフレット)の収集を行っている。それにより、中芝居役者と大歌舞伎役者との交流も少しずつ解明している。 以上のように、昭和初期から戦後・昭和40年代までの、中芝居と大歌舞伎の交流及び、中芝居役者と地芝居の交流についての資料を収集し、実態の解明に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
準備段階では存在を知らなかった『劇友』は、先に書いたようにコピーがかなわないため、すべて手書きで情報を書き写しているため、その調査にたいへん手間取っている。 また、これまでの元中芝居役者へのインタヴュー音声の文字おこしをゼミ生や院生などに行わせたが、インタヴュー内容は専門性が高く、専門用語も多いなどの理由で、非常に時間がかかるため、成果物が出るまでに時間がかかり、整理に手間取っている。 また、年度末から今年度にかけての問題であるが、3月には各地の地芝居、祭礼が中止となり、3月中に行われるはずであった元中芝居役者の指導も中止となったため、調査ができなかった。今年度に入って、対面調査もかなわず、また、他県の図書館に行っての調査もいつ再開できるかの目途が立たず、昨年度以上に進捗の度合いが遅れることを懸念している。
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Strategy for Future Research Activity |
関係資料や番付(公演パンフレット)などの歌舞伎・中芝居関係の書籍を引き続き収集していく。すでに入手した書籍の中から、中芝居関係の記述を抽出していく作業、これまでにインタヴューした音声データの整理、昨年度収集した新聞広告の整理、インターネットを活用して芝居番付を収集、などを進める。 他県の図書館での資料(新聞広告など)の収集や、元中芝居役者の関係者に対する対面調査、地芝居上演時の参与観察も予定しているが、どの段階で可能になるのか、新型コロナウイルスの感染状況を鑑みながら、実行していきたい。
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Causes of Carryover |
音声データの文字おこしをゼミ生や院生に行わせていたが、思うように進捗できず、年度内の成果物の提出が行われず、人件費を支出することができなかった。 本年度、引き続き作業をする予定である。
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