2022 Fiscal Year Research-status Report
世界遺産バンチェン遺跡の遺物の古美術品化とその価値づけをめぐる文化人類学的研究
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19K01239
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
中村 真里絵 愛知淑徳大学, 交流文化学部, 助教 (20647424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バンチェン遺跡 / 考古遺物 / 博物館 / エスニシティ / コレクション / 古美術品 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主にバンチェン遺跡にかかわる3つの博物館、バンチェン国立博物館、タイプアン・バンチェン博物館、そして日本のヨコタ博物館の調査研究を実施した。 1981年に開館したバンチェンにある国立博物館は考古資料を中心とした博物館であったが、2015年に村人のエスニシティでもあるタイプアンの民族展示室を開設した。2017年に開館したタイプアン・バンチェン博物館は、村人の手により創設されたコミュニティ博物館である。この博物館の設立の目的や経緯、収蔵品について、村人へ聞き取り調査を実施した。この博物館は村人から寄贈された生活用品、タイプアンの文化の説明パネルを主たる展示品としており、より村人たちの生活に密着した博物館であった。調査の結果から、コミュニティ博物館は、タイプアンであると同時にバンチェン遺跡に住む村人であること、この二つのアイデンティティが同居する空間として機能していることがわかった。この点においてコミュニティ博物館は、国立博物館とは異なる役割を持っていた。このようなバンチェンにおける博物館の特徴はタイの地方文化を重視する政治動向と連動しているといえる。 ヨコタ博物館は、愛知県新城市にある個人コレクションを基礎とする博物館である。バンチェン土器等を中心に約4000点ある収蔵品は、故横田正臣氏が1970年代からタイやラオスに私費を投じて渡航し収集してきたもので、日本における東南アジアに関する個人コレクションとしては類をみない規模を誇る。しかし、貴重な資料である一方で、体系的な整理が進んでいない状態におかれてきた。本年度はコレクションの全体像を明らかにするため整理に着手し、まずは横田氏が残した記録や手記の全て、さらにはフィルム資料の一部をデジタル化した。それにより、コレクションの学術的価値が明らかになりつつある。 以上の研究成果を論文と口頭発表にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、2年半、海外調査ができなかったことが影響し、当初の予定よりも遅れが生じた。そのため、比較的人との接触が制限される博物館へ焦点を当てて、調査研究を実施し、一定の成果をあげた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、着手したヨコタ博物館の写真資料のデジタル化と収蔵品の整理を継続し、コレクションの全体像を明らかにし、1970年代以降の日本と東南アジアの関係を再考する。また、コロナ禍により制限されていたバンチェン遺跡の現地調査を本格的に再開する他、これまで収集した調査資料をまとめ、研究成果として学会や論文にて発表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、海外での現地調査の回数を減らした上、短期間に変更したため、次年度使用額が生じた。しかし、海外の現地調査の制限があるなかで調査対象をしぼり、タイと日本のバンチェン遺跡にかかわる博物館の調査に専念した。それにより、日本の愛知県にあるヨコタ博物館のバンチェン遺跡や東南アジアに関する収蔵品を調査に着手することができた。これについては2023年度も継続する予定である。 さらに、2023年度は海外での現地調査を実施し、これまでの調査データをまとめていく予定である。
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Research Products
(3 results)