2024 Fiscal Year Annual Research Report
リモートセンシングおよびGISによるニヴフの植物資源採取における空間利用の解析
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19K01240
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| Research Institution | Hokkaido Museum |
Principal Investigator |
水島 未記 北海道博物館, 研究部, 学芸主幹 (70270585)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹菊 逸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (80397009)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 民族植物学 / 植物利用 / 植物名称 / ニヴフ / サハリン / フリードリヒ・シュミット / ウイルタ / アイヌ |
| Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる2024年度は、前年度の研究方針の変更を踏まえ、研究協力者を加えた計5名の協働により、1868年刊『Reisen im Amur-Lande und auf der Insel Sachalin』(アムール地方およびサハリン島の旅)の分析を行った。この文献はバルト・ドイツ人の植物学者シュミットによる報告で、ロシア地理学協会の調査団による当該地域の自然科学的調査の成果をまとめたものであり、サハリンの植物相に絡めてサハリンのアイヌ語、ニヴフ語、ウイルタ語の3つの先住民族言語による植物名称が記録されている。これらニヴフおよび近隣の先住民の植物の民俗名称を比較分析することにより間接的にニヴフの伝統的な植物資源利用についての把握、さらにはそれをもたらした環境的な要因についての推測にも資することを目的とする。分析には、研究期間を通じて得られたサハリンと周辺の自然環境・自然利用文化等の関連情報、ニヴフと近隣先住民の伝統文化の関連情報に加えて、北海道内で実施した植物相等に関する調査の成果・標本等も活用した。 2024年度には分析の概要をドイツで開催された国際ワークショップで発表した。この発表時の討論も反映させた分析結果の全容を数回に分けて公開することとし、第1報として当該文献における先住民族の植物名称の最新の植物分類学の知見による再整理の結果を北海道博物館研究紀要に投稿した。第2報は現在執筆中、第3報は2025年度に刊行予定である。 サハリンの先住民族の植物利用に関連するこの時代の記録はそもそも少なく、かつ植物名称に関する記録はほとんどないため『Reisen』は貴重な文献でありながら、この文脈ではまったく注目されてこなかった。現代の視点からさまざまな分析を加えることで、今後も多くの新たな知見を得ることが期待できる。
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