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2020 Fiscal Year Research-status Report

「社会法」概念の系譜学的再検討ー「社会」は「法的主体」をどのように構成してきたか

Research Project

Project/Area Number 19K01248
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

波多野 敏  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (70218486)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywordsフランス法制史 / フランス革命 / 社会契約 / 連帯
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、昨年に引き続き19世紀末のソリダリテ論について検討すると同時に、革命期の社会契約論に戻って、完全な法的主体になっていたとは言い難い「奉公人」の法的位置付けについても検討を進めた。革命期には、政治的な決定に能動的に参加できる法的主体は、「自らの意思を持って自立している主体」であると考えられ、「奉公人」は、自らの意思を持たない者として、政治的権利が認められなかった。コンドルセは、こうした存在は無くすべきであると考えたが、実際には「奉公人」のような存在はなくなることはなく、法の下の平等や自由といった基本原理との関係でも、こうした存在の法的位置付けは微妙な問題を孕むことになった。
革命期には、こうした存在は、シェイエースのように、受動的市民ではあっても能動的市民とはなれないと考えられた。革命期の憲法でも、1793年憲法は、上述のコンドルセの考え方に基づいて、成人男子の普通選挙制を導入したが、この憲法は実際には施行されず、1795年憲法では再び奉公人などの政治参加が否定された。このような区別は普通選挙制度が採用されている19世紀末にはもはや妥当しなくなる。革命期には政治的権利から排除されたような主体が、法的主体としてシステムの中に入ってくることで、「社会」や「個人」の捉え方も変化が強いられることになる。
また、こうした問題に関連して、「奉公人」については、18世紀から19世紀にかけて、男性の奉公人を複数名雇うことができる貴族的な世帯はレアになり、奉公人は、一人二人の女性を家事手伝いとして雇うという状態が一般化して、その社会的実態も相当変化していることは注意しておく必要があろう。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

19世紀末のソリダリテ論について、レオン・ブルジョワの議論を検討した上で、デュギーやサレイユなどの著作の検討に着手できた。また、コロナ禍でフランスの文書館で予定したいた手稿調査は先送りされているが、その代わりに、研究期間の後半で主に行う予定であった、革命期の、奉公人など完全な法的主体と認められていなかった存在についての研究を進めることができた。全体としては、研究計画に大きな修正を必要とするほどの遅れはない。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、引き続き革命期の「奉公人」についての研究を進め、論文などの成果を発表する予定である。
今年度も現地の文書館での調査は困難そうであるが、こちらからでも手に入れることができる印刷資料を中心に、革命期のシェイエースやコンドルセらの議論と、19世紀末議論、特にレオン・ブルジョワのソリダリテ論だけでなく、デュギーやサレイユなどの法律家の議論との比較検討をさらに進めていきたい。

Causes of Carryover

コロナ禍でフランス文書館における調査ができなかったため、とりあえず次年度以降の調査費用として繰越した。
今年度も現地調査が困難な場合は、少なくとも一部は、印刷資料等のの購入費に当て、現地調査を補えるようにしたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] フランス革命と国家による生存保障の試み2021

    • Author(s)
      波多野敏
    • Organizer
      政治社会研究会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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