2020 Fiscal Year Research-status Report
チャイルド・デス・レビューの研究:効果的な法制度設計と運用の実現を目指して
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19K01249
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小佐井 良太 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20432841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英世 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40372726)
河村 有教 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30403215)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チャイルド・デス・レビュー(CDR) / 子どもの死亡事故 / 死因究明 / 事故調査 / 事故予防・再発防止 / 厚労省モデル事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間2年目となる2020年度の研究実績の概要は、以下の通りである。 第一に、2020年8月にオンラインにて開催された日本法社学会・2020年度学術大会において、CDRに関するミニシンポジウム(「チャイルド・デス・レビュー( Child Death Review:CDR)法制化の展望と課題:効果的な法制度設計と運用の実現に向けて」)を開催した。具体的には、研究メンバー及び研究協力者がそれぞれの研究成果を踏まえ、CDR法制化の展望と課題について報告やコメントを行った。 第二に、2020年度からスタートした都道府県レベルでのCDRに関する厚生労働省モデル事業のうち、香川県のモデル事業にオブザーバー参加の機会を得て、モデル事業の下での多機関検証会議等の様子に触れることができた(2020年7月、12月)。また、併せてこれまで厚労省科研の下でCDRに関する研究を進めてきた医療系研究者らとの間で、CDRモデル事業の今後の進め方等に関する学際的な検討・意見交換の機会を得て、今後の日本におけるCDR導入に向けた方向性や課題等を確認することができた 第三に、昨年度に引き続き、CDRに関心を有するさまざまな関係者との間でCDRに関する勉強会を開催した(2021年2月)。勉強会には、厚労省科研にてCDRに関する研究を担ってきた医療系研究者をはじめ、研究者、弁護士、報道関係者、子どもの死亡事故遺族らが参加し、主として子どもの死亡事故遺族のCDRに寄せる期待と死亡事故をめぐる検証・再発防止にかかる現状での問題点を確認・参加者で共有することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記載の通り、日本法社学会でのミニシンポジウムの開催や厚労省CDRモデル事業へのオブザーバー参加に基づく検証、CDRに関わる多様な立場の研究者・関係者との勉強会の開催など、研究2年目となる本年度に予定していた研究活動を概ね順調に進めることができた。 他方、新型コロナウィルス感染症問題の影響を受けて、当初の研究計画通りに進められない面もあった。具体的には、2020年中に予定していた海外(オーストラリア・メルボルン)へのCDRに関するヒアリング調査の実施は、断念せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度および2年目に構築することができたCDRに関する医療系研究者並びに多様な関係者とのネットワークを生かしつつ、一方で、今後のCDRの具体的な制度導入に向けた議論・検討の展開を踏まえた制度設計に関する法学的な検討を進めて行く。とりわけ、2年目となる厚生労働省CDRモデル事業の推移を見守りつつ、可能な範囲でこれら都道府県レベルでのモデル事業の検証を行い、法制化に向けた議論に貢献することを目指す。 他方で、海外のCDR導入国における法制並びにその効果的な運用と課題に関する比較法的調査研究について、当初の研究計画では、研究2年目の2020年度にオーストラリアでのヒアリング調査を予定していた。しかし、新型コロナ感染症問題の影響により、現時点では渡航の目途が立たないことから、研究最終年度となる3年目・2021年度での実施を可能性として残しつつも、研究期間の1年延長を含めた研究計画の適切な修正・変更も視野に入れて研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、2年目となる本年度に海外(オーストラリア・メルボルン)での研究調査を予定し、そのための出張費等を確保すべく研究費の傾斜配分を行っていた。しかし、コロナ感染症の影響により計画の変更を余儀なくされたことが最大の理由である。加えて、国内でも出張等を行うことができなかったため、次年度使用額が生じることとなった。 次年度以降の使用予定については、研究期間を1年間延長することも視野に入れ、都道府県レベルで進められているCDRモデル事業のフォロー検証を中核として適切に研究計画を再設定の上、必要な旅費等への支出に使用する予定である。
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