2022 Fiscal Year Annual Research Report
チャイルド・デス・レビューの研究:効果的な法制度設計と運用の実現を目指して
Project/Area Number |
19K01249
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小佐井 良太 福岡大学, 法学部, 教授 (20432841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英世 甲南大学, 法学部, 教授 (40372726)
河村 有教 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30403215)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | チャイルド・デス・レビュー(CDR) / 子どもの死亡事故 / 死因究明 / 事故予防・再発防止 / 事故調査 / 第三者調査検証委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度となる2022年度は、研究成果のとりまとめと公表、研究期間終了後も引き続き継続的に取り組むべき研究課題の確認・検討作業を中心に研究を行った。 具体的には、2022年5月に子どもの死因検証制度の実現に関心を寄せる国会議員の会合において、研究グループの研究成果に基づき「CDRを実現する上での問題:2つの大きな問題と対処の方向性について」と題する意見表明を行う機会を得た。また、2023年2月には、法医学者や法学者らを主要なメンバーとする研究会において「子どもの死亡事故を防ぐためのアプローチ:事故原因究明のための制度について考える」と題するセッション報告を行い、研究グループとして研究成果を公表する機会を得た。他にも、厚労省「CDR体制整備モデル事業」のうち三重県CDRモデル事業へのオブザーバー参加に基づく検証作業を行ったほか、厚労省科研メンバーとの間でCDR事業の将来的な運用に向けた課題を具体的に検討する機会を得た。 本研究の補助事業期間(研究期間)全体を通じて実施した研究成果は、近い将来、日本でCDRを実現する際には2つの大きな問題に対処する必要があることを明らかにし、その対処の方向性を具体的に示し得たことである。具体的には、①関係機関(捜査機関等)がCDRでの検証に必要な情報をそもそも十分に収集できていない問題、及び②関係機関が収集した情報をCDRに十分な形で提供・共有できていない問題をそれぞれ分析・整理した上で、これらへの対処として、CDRの下で各種関係機関が実施する調査や情報収集の手続化・ルール化を徹底することで関係機関・担当者の「裁量権」を廃する必要があること、また、CDRの公益事業としての理念明確化と権限や義務の法的根拠を確実にするため新規立法を含めた十分な法整備が必要であることを明らかにすることができた。
|
Remarks |
*研究内容に関するインタビュー取材に基づく紹介記事の掲載 フロントラインプレス取材班(2022)『チャイルド・デス・レビュー:子どもの命を守る「死亡検証」実現に挑む』旬報社、145-158頁。
|