2022 Fiscal Year Research-status Report
2020年中国民法典制定前後における不動産所有権法の理論と実務
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19K01252
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
長 友昭 拓殖大学, 政経学部, 教授 (20555073)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 民法典 / 中国法 / 不動産 / 相続 / 登記 / 所有者不明 / 土地法 / 農地 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年に制定された中国民法典の規定全般について、不動産法の視点から評価・考察するために、日本民法の改正点などにも着目しながら、比較法的考察を行った。日本においても、中国においても、少子高齢社会の進展が大きな社会問題となっており。不動産との関連でいえば、農地をめぐる所有の問題や不動産の相続をめぐる各種の課題が指摘されており、これらの問題に関する日本法の現状とそれに対応する中国法上の法規範の在り方を検討した。 中国民法典の資料的価値に鑑み、民法典を改正前の関連規定と対照して翻訳する試みを継続して進めた。これまでに公表した物権編、権利侵害責任編、人格権編、総則編に続き、婚姻家族編について、長友昭「中華人民共和国民法典婚姻家族編の試訳―中華人民共和国婚姻法、中華人民共和国養子縁組法からの改正点・対照資料として―」拓殖大学論集 政治・経済・法律研究25巻1号、129-146頁、2022年10月を、相続編について、長友昭「中華人民共和国民法典相続編の試訳―中華人民共和国相続法からの改正点・対照資料として」拓殖大学論集 政治・経済・法律研究25巻2号、155-165頁、2023年3月を公表することができた。 比較法の対照として、日本の民法・不動産法の改正動向として、長友昭「農地取引過程における脱法的転用での所有権の移転と横領罪の成否の関係[最二判令和4年4月18日刑集76巻4号191頁]」日本不動産学会誌143号、141-145頁、2023年3月を公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、海外出張による実態調査がまったく実施できていない。その意味で当初の研究計画からの遅れは明らかである。 その一方で、同様の理由により、海外での研究や業務の実施できない国内の研究者との研究会などを新たに組織するなどして研究上の交流や新たな発想を得ることができた。当初想定した形とは異なるものではあったが、一定の研究の進展を得ることができた。 これらを総合的に評価して、「(3)やや遅れている。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究の最終年度を越えて、研究期間の延長をすることとなった。海外での実態調査の実施再開の見通しについては、多少の希望はありつつも、中国と日本の双方における事態の正常化を待てる時間的余裕は無さそうである。計画通りの実態調査に基づいた研究からは方向転換することもやむを得ないと考える。 そこで、今後は、日本国内からも入手・アクセスが可能な書籍や立法過程をめぐる情報等に基づいて、現在までの中国民法典における不動産所有権法の理論状況を取りまとめることに主眼を置いて研究に取り組むこととする。 また、中国法研究の基礎資料になりうる改正点を注記した対訳での民法典の翻訳については、早期に完成させることとしたい。未訳出となっているのは契約編のみとなっている。 研究期間中に、メール等で連絡を取り続けた中国側の研究者からの情報には貴重なものも多い。これらを反映させる形で、実現可能な方法での意見交流の機会も作りたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、当初の使用計画で予定していた海外での実態調査ができなかったことが最大の要因である。また、この影響が比較的長期にわたったことから、海外での実態調査が再開できたとしても、残された研究期間で助成金のすべてを当初の予定通りに使用するのは難しい状況であるといえる。 そこで、海外実態調査が可能になれば、可能な範囲で実態調査を行い、当初の使用計画に近づけるようにする。その一方で、現実に実行可能な研究として、当初の予定より多くの書籍・文献等の資料等を収集して、文献研究を手厚くするという研究手法の変更が考えられる。 実態調査と文献研究では、助成金の使用の範囲や研究成果に異なるところも生じると思われる。しかし、現在の環境においては、やむを得ない状況といえるだろう。柔軟な対応を心がけて、当初の計画をふまえた研究成果を得られるように努めたい。
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Research Products
(3 results)