2021 Fiscal Year Research-status Report
専門訴訟での規範形成過程とその制度的・人的体制の実証的・比較法的研究
Project/Area Number |
19K01270
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 専門知 / 専門訴訟 / 科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
専門知の社会学や、訴訟での専門知の活用についての研究を進めた。論文や学会報告という形での成果ではないが、司法研修所が実施する現職の裁判官対象の研修「民事通常専門研究会」にて「民事訴訟における科学・専門知の導入と規律」と題する講義を行った。これは、本科研での研究成果の一部であり、またこの講義を通じて、現職の裁判官の取り組みについての意見や情報等を得ることができたことも研究の進展に役立った。科学技術社会論や科学社会学の成果を専門知分析に組み込むことの有用性と課題を明らかにすることができたと考えている。 さらに、日本法社会学会で出版予定の学術本に、主に医療過誤訴訟において裁判を通じた法創造を行う場合の、専門知の利活用と判断のあり方に焦点を当てた「専門訴訟における調整的判断と法創造」と題する論文を執筆し、現時点では査読結果待ちであるが、査読に通過しなかった場合にも研究期間を延長して行った研究成果も含めて加筆修正して立命館法学等に寄稿し、研究成果を公表する予定である。 以上のような、本研究の中核となる研究に加えて、医療事故調査制度や医療安全関連の施策と訴訟との関連性、また司法鑑定が文書提出命令の対象となるかなどの判例や制度研究を行っている。これらの研究成果は、一次的には医療安全と紛争解決の連携という枠組みでの整理を行っているが、さらに、法創造における専門知の導入および裁判機構の研究に発展させていくための基盤となる研究として位置づけられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来は、2021年度で終了する予定であったが、海外調査を土台とする国際比較調査、国内でも聞き取り調査等が十分に進められていないことから、研究期間を延長するに至っている。 海外調査は2022年度においても十分に実施ができない可能性もあるため、国内調査への切替を検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も新型コロナ感染症の完全な終息を見込むのは難しいため現地での海外調査の実施ができるかどうかは不透明である。そこで、研究目標としても、海外調査は文献やオンライン調査での対応に切り替え、国内調査に重点を置く形での実施を試みたい。主に、高等裁判所の実情調査と分析に注力する予定である。
|
Causes of Carryover |
海外での調査や、国内での出張を伴う調査等を計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、渡航や出張制限があり、実施を行うことが出来なかった。そのため、出張を予定していた分が主として次年度使用額として残ることとなった。 2022年度においても、なお海外渡航には制約があるが、2023年3月ころまでには再開できる可能性があるほか、国内での移動の制約は小さくなっているため、国内での調査を行うことで、本研究の進展とまとめを行う予定である。
|
Research Products
(3 results)