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2019 Fiscal Year Research-status Report

抗告訴訟の性質と機能の再検討

Research Project

Project/Area Number 19K01278
Research InstitutionTakaoka University of Law

Principal Investigator

石崎 誠也  高岡法科大学, 法学部, 教授 (20159718)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords抗告訴訟 / 行政処分 / 美濃部達吉 / 穂積八束 / Anfechtungsklage / Verwaltungsakt / Kohaerenz
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者は、本年度は研究計画に基づき、我が国の抗告訴訟の特質をその成立期に遡って調査することとした。
そのため、抗告訴訟の対象である行政処分概念の形成過程を調べた。明治11年に「行政処分願訴規則」が元老院で審議されており、行政処分という言葉が一般に用いられていることは想像に難くないが、それに明確な概念規定がなされているとはいえないことから、同時代の行政文書・大審院判例を通してそのおおよその意味を調べた。また行政裁判法及び明治憲法制定過程における行政処分の用法を調査した。
さらに、美濃部達吉に先行する行政法学者が行政処分概念をどのように構成していったかを調査した。その結果、我が国において現代の行政法学につながる行政処分概念を最初に明確に規定したのは穂積八束であることが分かった。また穂積八束の処分論と行政裁判観を明らかにした。これは美濃部達吉の行政処分論及び抗告訴訟論を分析する上で必要な前提作業である。なお、本研究は新潟大学法政理論誌52巻1号に「美濃部達吉に先行する行政処分論」として掲載される予定である(原稿受理)。
また、9月にドイツの行政法学者及び行政裁判官(コプレンツ行政裁判所)の聞取りを行い、欧州連合(EU)の法実務がドイツ行政法にどのような影響を与えているかを調査した。例えば、コプレンツ行政裁判所において、原告がEU法を援用して原告適格有りの主張をしたのに対し、裁判所は従前のドイツ行政法理論によりその主張を退けているが、EU法とドイツ法の調整が実務上の重要な課題であることが裁判官から語られた。それに関して、ポツダム大学のSchmidt教授からの聞取りで、ドイツ行政法における今日の重要なテーマとしてドイツ法とEU法のコヒーレンツ(Kohaerenz:歩調を合わすこと)が論じられていることが分かり、ドイツ行政裁判理論への影響を調査することとした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

美濃部達吉につながる我が国の行政処分論の概要を把握し、研究計画の(3)の①に関する準備的研究をすることができ、今年度美濃部達吉の行政処分論と抗告訴訟論の特質を検討することが可能となったこと、
ドイツにおけるEU法の影響を行政裁判官の聞取り等から知ることができ、さらに、ドイツ法とEU法とのKohaerenzというドイツ行政法学が抱える問題関心を認識したので、本研究に課する重要論点を把握できたこと、
これらをその理由としてあげることができる

Strategy for Future Research Activity

今年度は明治期における抗告訴訟論の特質を美濃部達吉の行政処分論の再検討を踏まえて解明する。
さらに、それが戦後の司法制度改革期を経てどのような形で行政事件訴訟特例法につながっていったかを研究する。
ドイツにおける行政訴訟理論については、Schmidt教授及びドイツ行政法の重要な研究者であるSchmidt-Assmann教授の「Kohaerenz und Konsistenz des Verwaltungsrechttsschutzes」に関する研究を行う。

Causes of Carryover

海外出張旅費が当初計画より低額となったこと及び年度末の東京での調査が新型コロナ問題で不可能となったため、旅費等の使用ができなかったことが主な理由である。

本年度は、新型コロナ問題の状況を踏まえつつ、主に東京(国会図書館等)への調査及び研究会報告を行うため、それに15万円程度を使用する。また、年度末にドイツでの調査を行いSchmidt-Assmann教授へのインタビュー等)を行うため、それに40万円を予定する。さらにドイツ文献の購入に約15万円、国内文献の購入に5万円、その他ファイル等の消耗品に3万円程度の支出を予定している。

URL: 

Published: 2021-01-27  

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