2019 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ国法学上の国家憲法と宗教憲法の衝突の観点からみた現代的宗教問題の検討
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19K01285
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
三宅 雄彦 駒澤大学, 法学部, 教授 (60298099)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宗教憲法 / ドイツ国法学 / プロテスタント教会法 / 国家教会法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、民主主義や法治国家の構造を持つ政治憲法と、これらとは異質で、寧ろ民主主義や法治国家に反する構造を持つ個別秩序、ぞれぞれを全体憲法と部分憲法と名づけ、この政治憲法と、部分憲法としての宗教憲法との関係を問うものである。今年度は、その出発点となる基礎的作業を、一つには、体系的作業として、全体憲法と部分憲法の関係それ自体を具体例に即して取扱う検討を、もう一つには、歴史的作業として、この視座の基盤を構築したスメント憲法理論を分析する検討をそれぞれ行った。 前者としては、同様の対立構造を顕著に示す全体憲法たる国家憲法と部分憲法たる国際憲法又は欧州憲法の対抗を探るべく、2010年から12年のいわゆるユーロ危機に対するドイツ連邦憲法裁判所の諸判決を整理する作業、及び、2018年の連邦憲法裁判決を題材に職業官僚制を持つ国家憲法の基本構造を分析する作業を行った(いずれも駒澤法学にて公表済み)。尤も、単なる整理部分を公表するにとどまり、肝心の全体憲法と部分憲法への切り込みは不十分となってしまった。 後者としては、スメント憲法理論に内在する国家憲法と宗教憲法の対抗関係の視座を獲得するべく、1950年代末のスメントとその論敵シュミット及びフォルストホフの論争を分析する作業を、またこれに続き、1950年代の連邦憲法裁のコンコルダート(国家教会条約)判決とそれへのスメントの関与を検討する作業を行った(前者につき駒澤法学にて公表済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国家憲法と宗教憲法の対立構造を検討する基礎作業として、全体憲法と部分憲法の関係一般、更には、その具体例としての国家憲法と国際憲法の関係、或いは、国家憲法それ自体に内在する職業官僚制の構造、それぞれに関する基礎的作業については概ね順調に研究を進めることができた。とりわけ、ユーロ危機に関する連邦憲法裁判決の分析においては、国家憲法と国際憲法又は欧州憲法の対立構造を詳細に検討することができ、また、スメント憲法理論の歴史的検討においても、彼の国家憲法と宗教憲法の対抗関係についての理解を更に深めることができた。 しかしながら、当初、福音主義教会法及び国家教会法に関する具体的諸問題の検討については、本研究の枠内で計画していた、ハンス・ミヒャエル・ハイニヒ教授(ドイツ・ゲッティンゲン大学法学部)を日本に招待した上での、同教授との共同研究が、年度末に発生したコロナ禍によって中止となってしまったことにより、進行が遅れている。ただし、同教授とは、研究計画について意見交換は継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、一つには、全体憲法と部分憲法との関係、国家憲法と宗教憲法の関係の分析作業を引き続き進め、二つには、その対抗関係を示す具体例を、連邦憲法裁判所の判例を検討することで、これに検討を加える予定である。前者としては、全体憲法と部分憲法に関わる、国際憲法や欧州憲法など関連する事例の検討や、スメントの憲法理論及び教会法学の、その歴史的文脈を踏まえた上での分析作業を計画している。 他方で、今年度来日予定であったハイニヒ教授、更には、さらには、フランク・ショーコプフ教授(ドイツ・ゲッティンゲン大学法学部)、マティアス・クナウフ教授(ドイツ・イエナ大学法学部教授)にもドイツ又は日本で共同研究を行う予定である。しかしながら、今後のコロナ禍の動向が不明であり、研究代表者のドイツ渡航、及びドイツ人教授の来日に関わる研究計画については、これらドイツ人教授と連絡をとりつつ、実現可能性そのもの、及びその善後策について再検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年3月にドイツ・ゲッティンゲン大学法学部のハンス・ミヒャエル・ハイニヒ教授を日本に招き、共同研究を実施する予定であったが、世界的なコロナ禍のためにハイニヒ教授の来日待自体が不可能となり、したがって、そのための旅費の執行ができなかったため。次年度に、今回果たせなかったハイニヒ教授の招待、及び他のドイツ人教授を日本に招くことも検討している。
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Research Products
(3 results)