2021 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ国法学上の国家憲法と宗教憲法の衝突の観点からみた現代的宗教問題の検討
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19K01285
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
三宅 雄彦 駒澤大学, 法学部, 教授 (60298099)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宗教憲法 / ドイツ国法学 / プロテスタント教会法 / 国家教会法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、民主主義や法治国家の構造を持つ政治憲法と、これらとは異質で、寧ろ民主主義や法治国家に反する構造を持つ個別秩序、それぞれを全体憲法と部分憲法と名づけ、この政治憲法と、部分憲法としての宗教憲法との関係を問うものである。今年度も、体系的作業として、全体憲法と部分憲法の関係それ自体を具体例に即して取り扱う作業を、もう一つには、歴史的作業として、この視座の基盤を構築したスメント憲法理論を分析する作業を、前年度に引き続き行った。 第一の、体系的作業としては、一つには、全体憲法たる国家憲法それ自体の構造、具体的には政治憲法の部分を構成する基本権、その理論構造を、最近のドイツ学界における判例の歴史的研究を踏まえた上で、これを検討し(公表済み)、二つには、この全体憲法との対抗をなす部分憲法につき、その具体例として婚姻憲法又は家族憲法(婚姻又は家族制度の構造)を、2017年に制定されたドイツ同性婚法を素材としながら、これを検討した(公表済み)。但し、今年度も、全体憲法と部分憲法の周辺的事象の検討に留まってしまった。 第二の、歴史的作業としては、やはりスメント憲法理論に内在する国家憲法と宗教憲法の対抗関係の素材を獲得するべく、一つには、スメント本人、そして彼の弟子であった政治学者ヴィルヘルム・ヘンニスの憲法理論の学説的意義について検討し(公表済み)、二つには、スメントを中心としてドイツ宗教憲法の構造を、連邦憲法裁判所の判例を中心として、これを検討した(公表予定)。尤も、当初予定していた、ドイツ研究者との連絡や共同研究が、今年度も順調にいかず、必ずしも本格的な研究に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国家憲法と宗教憲法の対立構造を検討する基礎作業として、全体憲法と部分憲法の関係一般、更には、その具体例としての国家憲法と家族/婚姻憲法の関係、或いは、国家憲法それ自体に内在する職業官僚制の構造、それぞれに関する基礎的検討については、今年度も概ね順調に研究を進めることができた。とりわけ、スメント憲法理論の歴史的検討においては、彼及び彼の弟子ヘンニスの政治学の検討を通じて、全体憲法と部分憲法の関係の知見をより具体的に得ることができた。 しかしながら、当初、福音主義教会及び国家教会に関する具体的問題の検討については、本研究の枠内で計画していた、ハンス・ミヒャエル・ハイニヒ教授(ドイツ・ゲッティンゲン大学法学部)を日本に招待した上での、同教授との共同研究など、ドイツ研究者との共同研究が、今年度においても、コロナ禍により中止になってしまったことにより、進行が遅れている。コロナ禍の収束が見えない中で、今後の対応を検討したいが、とはいえ、ハイニヒ教授とは、研究計画について意見交換を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き、一つには、全体憲法と部分憲法との関係、国家憲法と宗教憲法の関係の分析作業を引き続き進め、二つには、その対抗関係を示す具体例を、連邦憲法裁判所の判例を検討することで、これに検討を加える予定である。前者としては、全体憲法と部分憲法に関わる、国際憲法や欧州憲法など関連する事例の検討や、スメントの憲法理論及び教会法学の、その歴史的文脈を踏まえた上での分析作業を計画している。 他方で、今年度来日予定であったハイニヒ教授、更には、さらには、フランク・ショーコプフ教授(ドイツ・ゲッティンゲン大学法学部)等、ドイツ研究者にもドイツ又は日本で共同研究を行う予定である。しかしながら、今後のコロナ禍の動向がいまだに不明であり、研究代表者のドイツ渡航、及びドイツ人研究者の来日に関わる研究計画については、これらドイツ人研究者と連絡をとりつつ、実現可能性そのもの、及びその善後策について再検討する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究代表者のドイツ渡航及びドイツ人研究者の日本渡航による研究及び研究資料収集が困難となり、そのための経費支出が不可能となったため。
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Research Products
(9 results)