2019 Fiscal Year Research-status Report
The Modern Significance of the Monarchical Principle
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19K01288
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷部 恭男 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80126143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 君主制原理 / 国家法人理論 / 憲法制定権力 |
Outline of Annual Research Achievements |
君主制原理およびそれと対抗関係にある国家法人理論をテーマに、2019年12月にベトナム(ハノイ)で開催された第8回アジア憲法フォーラムにペーパーを提出するとともに口頭の発表を行い、各国からの参加者と討議した。ペーパーは査読を経て近日中にプロシーディングズに収録されて刊行される予定である。 また君主制原理および国家法人理論の生成の経緯とそれらの日本の現代憲法学にとっての含意を『注釈日本国憲法(3)』(有斐閣、2019)所収の憲法第3章「前注」にまとめて公表した。法律家および法律を学ぶ学生向けの教科書として『憲法講話』(有斐閣、2019)を刊行し、その中でも君主制原理とその含意を旧憲法および現憲法に即して解説している。また、『憲法学の虫眼鏡』(羽鳥書店、2019)にも、君主制原理および国家法人理論に関連する論稿をいくつか収めている。 君主制原理自体をテーマとするものではないが、関連するテーマについての論稿をいくつか公表した。いくつか例を挙げると、民兵こそが国の強力な防衛手段となるという思想の系譜をたどる「『不敗の民兵』神話」を雑誌論文として、また、ブルース・アッカーマン教授の「革命的立憲主義」構想を論評する「Constitutional Revolution, Legal Positivism and Constituent Power」をHart publishing から刊行された図書の1章として公表した。 さらに君主制原理および国家法人理論を巡る日本の憲法思想史を描く論稿である「Constitutional Changes in Japan」がほぼ完成しており、2020年7月にRoutledge社から刊行される図書の一章として公表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
君主制原理およびそれと対抗関係にある国家法人理論に関していくつかの図書を刊行するとともに関連するテーマに関する論稿も数篇公表することができた。また君主制原理および国家法人理論に関して、国際学会で口頭での発表を行い、アジア各国からだけでなくアメリカ、オーストラリア等からの研究者とも討議し、学会に提出したペーパーが近日中に刊行される予定である。 さらに君主制原理および国家法人理論を巡る日本の憲法思想史を描く論稿である「Constitutional Changes in Japan」がほぼ完成しており、2020年7月にRoutledge社から刊行される図書の一章として公表される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2020年7月刊行予定の「Constitutional Changes in Japan」を刊行に向けて仕上げる予定である。 さらに関連するテーマに関する研究と研究成果の公表を進める予定である。いくつか例を挙げると、近代立憲主義へと連なる中世後期の政治思想の研究、君主制原理の下の天皇制と国民主権原理の下での天皇制の対比、絶対君主制と制限君主制の異同、君主の権限の基礎に関するカトリックとプロテスタントの視覚の対比等を想定している。 また、国際学会での報告や海外の出版社からの図書刊行プロジェクトへの参加などを含め、研究成果の国際的な発信と海外の研究者との学術交流にも努めていきたい。これまでの経験からすると、君主制原理および国家法人理論に関しては、国際的にはなお十分にその意義が把握されているとはいいがたい状況であり、こうした国際的な場での交流には意味があると思われる。 さらに、コロナウィルス禍の下で困難となりつつあるが、一般市民向けの講座等で研究成果を伝えることにも可能な限りで努めていきたい。日本国憲法の特質と大日本帝国憲法との差異を把握するためには、君主制原理についての理解は不可欠であり、一般市民層にそうした理解を広げることには意味があると思われる。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 憲法講話2020
Author(s)
長谷部恭男
Total Pages
442
Publisher
有斐閣
ISBN
9784641227828
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