2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Modern Significance of the Monarchical Principle
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19K01288
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷部 恭男 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80126143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 君主制原理 / 国家法人理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、「イギリス国王の立法の裁可と同意」『早稲田大学法学会百周年記念論文集第1巻公法・基礎法編』(成文堂)69-86頁を公表した。イギリス国王は立法の裁可権を有するが、1708年にアン女王が行使したのを最後に、その後は行使されておらず、行使しないとの憲法習律が成立したと言われる。本稿は、立法裁可権が行使されなくなった背景を探るとともに、それに代わって国王が立法過程へ影響力を行使する手段があった可能性を検討する。その他、主な業績としては、2021年度に刊行されたTowards a Normal Constitutional State (Waseda University Press)に収められた'Constitutional Borrowing: The Case of the Monarchical Principle'100-113頁がある。君主制原理の生成と展開の過程を、フランスからドイツ、さらに明治期の日本への継受の経緯とともに描き、さらに君主制原理と国家法人理論との相剋関係を検討したものである。君主制原理と国家法人理論との対立は、同書に収められた'Constitutional Changes in Japan'157-179頁でも描かれている。また、同年度に刊行された『憲法の階梯』(有斐閣)に収められた「緊急事態序説」165-175頁は、フランス1814年憲章で確立された君主制原理が、緊急事態に対応する君主の権限を裏付ける法的基礎として機能したことを描く。やはり同書に収められた「主権は国民に存する」113-126頁は、君主制と対立するものと考えられてきた国民主権原理が、君主制を基礎付ける原理としても機能したことをヨーロッパ中世の政治思想にさかのぼって検討する。
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