2022 Fiscal Year Research-status Report
Immigration Detention - bare minimum and right treatment; what do the domestic and international law request ?
Project/Area Number |
19K01292
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
坂東 雄介 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50580007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 裕子 (小坂田裕子) 中央大学, 法務研究科, 教授 (90550731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 移民 / 収容 / 入管 / 欧州人権裁判所 / 難民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①外国人を収容する際に、どの程度ならば必要最小限度の収容と言えるか、②収容の際にはどのような処遇が求められるのかを国内法・国際人権法の観点から明らかにすることを目的としている。 2022年度は、以下の研究研究代表者である坂東は、難民(及び難民認定申請者)を入管収容の観点から日本法上の位置付けを明らかにし、その問題点を指摘する研究を行った。この研究成果は、日本大百科全書(ニッポニカ)に掲載されている。この研究は、脆弱性ゆえに見落とされがちな難民の存在に光を当て、その法的保障と問題点を明らかにするという意義・重要性を有する。 研究分担者である小坂田は、欧州人権裁判所における入管収容の合法性審査の発展を自由権規約委員会との比較を通じて明らかにする研究を行い、欧州事件裁判所では、収容の必要性に関して個別審査は原則として要求されないが、全件収容主義をとる国家の誠実さには留保が付されていること、ただし収容を「主権の付属物」とする考え方自体は存続していることを明らかにした。この研究成果は、論文として、国際法外交雑誌 121(3) 54-74 2022年12月に掲載されている。この研究は、国家の裁量と捉えられる入管収容制度を国際人権規範の観点から実際に国内法を制約する理論の発展途上を明らかにしたものであり、同様に入管収容制度を国家の裁量と理解している日本法にとって、国際人権規範に即した法制度の受容と実現に至る障害の克服のために大いに参考になるという意義・重要性を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度と同様、新型コロナウイルスの感染拡大およびその防止のために、学会や研究会の開催が制約され、研究者間の意見交換の機会が失われた面があった一方、コロナ禍になって普及したZoomなどのオンラインツールの活用によって、遠隔地の研究者同士で意見交換の機会を設けることが可能となった。また、今までの研究成果をまとめ、論文を1本、解説2本を公表することができた。 以上より、当初3年間を予定していた計画と比べると多少遅れはあるが、十分順調に進展していると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、新型コロナウィルスの感染拡大・防止策のために大きく遅れたオーストラリア法研究に注力し、オーストラリアの入管収容状況を明らかにする予定である。それとともに、研究最終年度であることから、今までの研究成果を整理し、日本法、オーストラリア法、欧州人権裁判所の入管収容に関して比較検討した成果を公表することに努めたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していたオーストラリア出張が新型コロナウイルスの影響で実施できなかったため、旅費が大きく余り、次年度へ繰り越すこととなった。次年度は本年度に実施できなかった出張機会が大きく増加するため、繰越分の予算を用いる予定である
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Remarks |
坂東は2022年度に小学館が運営しているWebサービス「日本大百科全書(ニッポニカ)」に上記タイトルの解説を研究成果として執筆した。雑誌論文、図書、いずれのカテゴリに収まらないため、ここに記載する。
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