2019 Fiscal Year Research-status Report
フランス租税法におけるレギュレーション概念の形成と発展
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19K01294
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平川 英子 金沢大学, 法学系, 准教授 (90510371)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 事前照会制度 / 行政解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において基本的テキストと位置づけられるMartin ColletのDroit fiscalの最新版(2019年)を入手し、テキストの翻訳を進めた。テキスト上、レギュラシオン(Regulation)の制度の一つとして位置づけられるレスクリ(Rescrit、日本でいえば事前照会・回答制度に相当)について、その法的効果や実務上の重要性に関する分析を重点的に行った。そのなかで、レスクリにおける行政解釈が租税法の解釈方法論において、どのように位置づけられているのか、という新たな疑問が生じた。他方で、フランス租税法における法解釈方法論についてこれまで(日本では)研究がなかったことから、本研究課題の副次的産物として、当該論点についても基礎的な研究を行うこととした。 まず、フランスにおいても通達等によって示される行政解釈は、実務上、重要視されていることは日本と状況は同様である。しかし、フランスでは、そのような行政解釈に対する納税者の信頼保護のためにレスクリの制度があり、いったん行政解釈と示された解釈については、それがあるべき法解釈(裁判所によってなされる法解釈)と異なる場合であっても(つまり違法な行政解釈であっても)、当該行政解釈を信頼して行った納税者の行為は保護されることになる。このことは、行政解釈の「法規化」といえそうであるが、Colletのテキストではそのような説明の仕方をしていない。この点については、今後さらに、他の文献等を比較参照しつつ、フランス租税法における行政解釈の位置づけを分析していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に予定していたフランス現地調査(租税法研究者および現地課税当局へのヒアリングおよび情報収集)や日本国内の研究者との研究会等が、新型コロナの影響で実施できなかったため、次年度の研究にむけた基礎的情報集にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス現地調査あるいは研究会等における研究報告については、しばらく実施が難しいと思われるため、引き続きテキストや収集した文献の翻訳を進めながら、論文作成のための研究ノートを充実させていきたいと考えている。ヒアリングを予定していたフランスの租税法研究者とは、引き続きコンタクトをとり続け、メール等でもできる範囲で情報交換をしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定していたフランス現地調査が、新型コロナの影響で、急遽中止せざるを得なかったため。次年度もしばらくは現地調査は困難であることが見込まれるため、資料調査を中心に研究を進める予定である(書籍の購入と資料貸借等に使用する予定である)。
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