2020 Fiscal Year Research-status Report
フランス租税法におけるレギュレーション概念の形成と発展
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19K01294
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平川 英子 金沢大学, 法学系, 准教授 (90510371)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ネゴシエーション / 納税環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は昨年度に引き続きフランス租税法に関する基本文献およびテーズ等の収集と分析を行った。昨年度において予定していた現地ヒアリング調査を2020年度に実施する予定であったが、昨年度末から引き続き新型コロナ感染症対策のため海外渡航を自粛せざるを得ず、ヒアリング調査を実施することができなかった。また、現地でも日本と同様、混乱があるためか、現地の研究者とのメール等によるやりとりも低迷した。そのため、2020年度も文献調査が中心とならざるを得なかった。なお文献についても当初の発行予定が大幅に遅れるなど、予定通りに入手ができない事態が生じた。また、コロナ対策に関連して、移動が制限されたため、フランス租税法関係の雑誌類を所蔵している慶應義塾大学図書館での文献収集を行うことが困難で、資料収集も停滞せざるを得なかった。 くわえて、コロナ感染症拡大防止のため、2020年度の講義が全面的にオンライン開講となり、そのための準備に多くの時間を割かねばならず、当初予定していたエフォートでの本研究課題の研究時間を確保することが著しく困難であった。以上の内外的要因のもと、研究遂行に遅れが生じているが、本年度は入手できた文献・資料等を中心に分析を行うこととした。フランスでは、近年、個人所得税について源泉徴収制度が導入されるなど、租税行政の制度的基盤に変化がみられる。利便性の向上の観点から、ますます納税環境の整備が重視される。他方、日本においては、判例における信義則適用に対する慎重な姿勢は、近年においてもなお堅持されているように思われる。税務行政過程における納税者の地位や位置づけを再検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症拡大の影響により、現地ヒアリング調査が実施できないほか、資料の入手にも困難を来していること、新型コロナ感染症対策のためのオンライン講義等の準備など、講義や学内業務の負担が大幅に増加しており、研究時間の確保が難しくなっていることなど、内外的要因により計画通りの研究遂行が困難となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染拡大の状況が落ち着かないことには、租税争訟手続、租税徴収手続に関する文献等資料に支障があり、現段階でもすでに必要な資料を十分に入手することができない状況にある。このため、現段階で得られた文献・資料(租税確定手続きに関するものが中心である)をもとに、租税確定手続におけるネゴシエーションの問題について考察を深める方向性で研究対象を絞りこむ必要があると思われる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大の影響により、予定していた海外および国内出張が中止となったこと、図書の発行が延期になるなど文献収集にも停滞を生じたことから、次年度使用額が生じた。 本年度の使用計画としては、新型コロナ感染症の状況次第によっては年度内にヒアリング調査を実施したいと考えているが、それが難しい場合には、全面的に文献中心の調査に切り替え、広く(関連分野も含めて)国内外の文献を収集することに使用することを予定している。
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