2019 Fiscal Year Research-status Report
国庫を経由する資金のマクロ的統制に関する財政法学的研究
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19K01297
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
片桐 直人 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (40452312)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 憲法 / 財政法 / 貨幣 / 金融 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の財政法学ないし財政憲法学は、財政の権力性に着目し、その権力性を、議会制民主主義と法治主義という二つの理念に基づいて、適切にコントロールする手法を探求してきたのに対し、権力ではなく貨幣に着目し、財政法の全体的な解明をしようとするものである。
具体的には、「『貨幣による統治』を規律する法という意味での財政法はどのような体系的構造を有しているか」を解明するための準備作業として、①財政と金融との連続性に留意し、金融法・金融行政法の思考をも取り込みつつ、②財政や金融に関わるアクターや制度が多方面にわたり、それらが相互に作用しているという動態を適切に把握し得る財政法学の方法論を検討し、③もって、わが国における資金の流れにおける国庫の位置づけを確認し、それを規定している法的枠組みを動態的に明らかにすることを目的とする。このような研究目的を達成するために、本研究では、文献および資料の収集・分析と、それによって得られた知見に基づく理論構築という従来の法律学の手法にのっとり、研究会や研究交流をまじえながら、研究代表者が単独で研究を進めるものである。
平成31年度は、まず、国庫の資金の流れを把握し、それを規定する法制度のあり様を分析することに着手した。各種の資料を入手し分析を進めるとともに検討の成果については、実務担当者及び関心を共有する研究者を交えた研究会を行った。
今年度の成果物は、論文として公刊されたほか、日本公法学会での報告1本、研究会報告3本、未公刊論文1本である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は資料収集とその分析を中心に研究を進め、論文、学会・研究会報告として成果を世に問うなど、一定の進捗をみた。とくに、財政運営ルールについて、国庫資金の流れを金融市場などとの関係でマクロにみる視点に対応するものと、実質的な均衡財政から出発して、そこからの乖離を問題にするものとの２種があり、それぞれの憲政上の意義が異なることを発見したのは大きな成果であったといえる。
その一方で、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、とくに2020年1月以後、予定していた研究会や面談が実施できなくなるなど、研究に停滞がみられる部分もあった。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以後も、資料収集・分析と研究会の開催を軸とした研究方法は変わらないが、平成31年度から継続して、国庫の資金の流れを分析するとともに、公的金融も含めた金融の法的規律について、比較法的な分析を開始する。比較法の素材としては、金融行政法の蓄積がみられるドイツを素材とする。これとの関連で、令和２年度にドイツにおいて海外調査を行うことにする。海外調査においては、わが国の国庫の資金の流れを比較して分析するための資料の収集を行うほか、ドイツ公法学において進展がみられる金融行政法に関する知見の提供を受けることとする。
もっとも現在の新型コロナウイルス感染症の状況に鑑みれば、今年度の大半において、国内外の出張を伴う研究会やヒアリング、資料収集は困難かもしれない。その場合、書籍資料収集やインターネット上の資料の収集、各種データベースの活用を行い、研究を進める。
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| Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響で年度末に予定していた東京でのヒアリング、打ち合わせが2回ほどキャンセルになり、残額が生じた。これらの出張で予定していた内容は次年度に併せて実行する。また、その分、次年度の出張計画に変更が生じ、それに伴い経費に余裕が出るが、その際は、資料購入等に充当する。
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