2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01298
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
淺野 博宣 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40261945)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法訴訟 / 憲法判断方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、憲法判断の方法について検討し直し、裁判所が憲法判断を行う場合に、採りうる選択肢にはどのようなものがあるのかを示そうとするものである。 初年度である2019年度における成果としては、憲法解釈方法、その中でも違憲審査基準論と呼ばれる解釈方法の意義について研究を行い、その結果の一部を論文として脱稿することができた(分担執筆の書籍の1章分として出版予定)。この論文は、千葉勝美・元最高裁判事の違憲審査論(『違憲審査』『憲法判例と裁判官の視線』)と学説の審査基準論とを対比的に検討し、学説が違憲審査基準論として提示してきた議論が何を実現しようとするものであったかを明らかにしようと試みたものであり、単純化したかたちではあるが、ある程度は明らかにすることができたのではないかと考えている。 このような作業の結果、一方では、現在の裁判所の違憲審査の方法において欠けているものを確認することができたように思われるが、他方で、これまでの学説の違憲審査基準論のままでは裁判所によって受け入れられるようになるのは難しいのかもしれないと感じられた。本研究の目的である憲法判断方法の再検討は、裁判所が違憲審査基準論の趣旨を受け入れるためのハードルを下げる役割を果たすという点でも、意味があるのではないかと考えている。 本研究課題における比較憲法的研究については、今年度から改めて研究を開始したが、脱稿には到っていない。引き続き取り組んで、来年度以降において結果をまとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において研究成果を公表できたことから、進展していると評価して良いのではないかと考えている。ただ、比較憲法的研究が公表できるところまで到っていないことから、計画以上とは評価することが出来ない。
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Strategy for Future Research Activity |
比較憲法的研究については、アメリカ合衆国について研究が進められているので、出来るだけ早くかたちにしたいと考えている。また、日本法研究については、まず、現在の日本の裁判所の憲法判断方法について、新しい角度からまとめてみることが今後の研究を方向付けるために必要ではないかと考えているので、そのような作業から取りかかりたい。
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Causes of Carryover |
パソコンの購入が遅くなったことが主な理由である。コロナ禍の関係もあり2019年度内の購入を控えたこともあったが、正常に戻り次第予定どおり購入したいと考えている。
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