2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K01298
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
淺野 博宣 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40261945)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法訴訟 / 違憲判決 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、まず、1人別枠方式に関する2011年最高裁判決以降の一連の最高裁判決について、それらが実際にどのような影響をもたらしたのかについて検討を行い、その成果を公表することができた。それらの諸判決についてはすでに多数の先行研究があるが、法学においては理論的分析や内在的分析が主で、実際の影響についての詳細な分析はあまりなかったように思われる。また、政治学においては実際の影響を含め検討がなされているが、それが判決の内容的特徴とどのような関係にあるかについてまで分析するものは少なかった。本稿はその隙間を埋めようとしたものである。2011年判決は違憲状態判決であるところ、憲法判断の方法が実際にどのような影響を与えたのかというケーススタディでもあり、憲法判断の方法という本研究課題の直接の成果である。 また、簡単なものであるが、2022年にアメリカ連邦最高裁が下したDobbs判決の分析も行った。こちらは、権利性を否定するということがどのような影響を持つのかという一般論を個別的事案に即して検討したもので、本研究課題の成果の一つである。 また、違憲判決の効力に関する論文の執筆を行った。脱稿には至らなかったが、ほぼ確定することができ、次年度中に公表する予定である。憲法判断の方法という本研究課題を遂行することがもつ意味の一端を明らかにできたように思われる。 本年度が最終年度である。途中で難所に詰まった時期もあったが、最終的には、直接の問題については解明できたように思われ、また、残された課題についても見通しをつけることができ、自己評価的には肯定的に考えている。
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